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『すとぱん!(前編)』(けいおん百合妄想SS)

けいおんのSSを公開します。『すとぱん!』というお題です。
視点でな内容です。

ただし今回は前半で、残りは数時間後か、
場合によっては明日以降に公開する予定です。

ちょっと割り込みで急ぎの仕事が入ってしまったのと、
あとで書くように随分長くなってしまったので。
申し訳ありません。

それと先日からいくつか感想をいただいているのですが、
それも後日に返信いたします。
お待たせして申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

さて、きっと世間ではハロウィンネタなSSがたっくさん発表されてことと思いますが、
こちらでは空気を読まずにパロなSSです。

なんとなく題名でお分かりかもしれませんが、「ストライクウィッチーズ」というアニメのパロを、
けいおんのメンバーでやってみました。

同案多数と思われますが、ネコ耳あずにゃんを見てるとつい、
使い魔の魔力を借りて戦う「ストライクウィッチーズ」を連想しちゃうんですよね。
あちらもネコだの犬だのいろんなケモノ耳が登場するので。

あらすじはですねー、

 大型魔導弾による敵中枢部の攻撃のため、のペアは成層圏を侵攻する。
 だがようやく敵の撃破に成功したと安堵した矢先、交戦中のの通信がぷっつりと途絶えた…。

って感じです。

なお「ストライクウィッチーズ」は1940年代が舞台ですが、
このSSではその戦争が現在も続いていることになっています。
このため魔力がありそうな女子高生は、
根こそぎ戦闘要員として招集されているという状況です。
もちろんけいおん部のメンバーも例外ではありません。

というわけで、今回はオリジナル設定が満載です。ご注意ください。

ちなみにが穿いているのは21世紀のストライカーユニットです。
それと空中戦の描写はかなーり頑張ってみたつもりなんですが、どうでしょうねぇ…?

あと、分量が…かなりあるんですよ。

10月17日に公開したオリジナルSS『とある12歳の恋物語』が8000文字ほどで、
このブログでは最長だったんですが、今回のは余裕で25KBを超えてしまいました。
おまけに見慣れない漢字やアルファベットがたくさんあるので、
ちょっと読みにくいかもわかりません。
ご了承ください。

それでは、お楽しみくださいませっ!


 『すとぱん!(前半)』



 小さいころ、あの空の向こうにあるって信じてた。
 友だち、夢、名誉、恋、運命。
 その、全てが。

    ◇  ◆  ◇

 ここ数日では一番に眺めがよくて、絶好の飛行日和だった。

 水平視界は極めて良好。上空は蒼い空だけど、眼下には地平線まで真っ白な雲海が広がっている。おまけに上方やや左手から照り付ける太陽の光を浴びてキラキラと輝いていた。これが観光旅行だったら雄大な景色に歓声のひとつも上げたいところだけど、残念ながら現在は作戦の真っ最中。とてもそんな不謹慎な真似はできない。

 高度34,000フィート。気温マイナス53℃。大気圧は地上の半分以下。魔法がなければ10秒と命を保っていられない、この成層圏という名の異世界。そんな天国と地獄の境目を、今日も私たちは音速のおよそ80パーセントという経済速度で飛んでいる。生身の身体にストライカーユニットを穿いて。

 本来なら私のエスコート役をつとめる先輩──本来の肩書は連合軍第615統合戦闘航空団所属、扶桑帝国空軍、秋山中尉なのだけど──の位置は、護衛対象である私より数マイル後ろが望ましいと扶桑空軍飛行操典には書かれている。だけど先輩はむしろ積極的にそれを無視していた。理由はただひとつ。まだまだ卵の殻をくっつけたような、このひよっこの私を少しでも安心させてやろう、という心温まる配慮にほかならない。

『エニワ02、エニワ01。エンジンの調子はどう?』
「こちらエニワ02。今の所は快調そのものです」
『了解。だけどもし、ほんの少しでも不安を感じたらすぐに引き返すんだ、いいな』
「わかりました」

 先輩にはエニワ01、私には02というコールサインが割り当てられていた。これは出撃するたびに変更される。もし毎回同じコールサインを使い続けていると、誰がどのくらい戦果を挙げているのかとか、あるいは今日は誰が出撃しているかとか、そういう個人情報がダダ漏れになってしまうからだ。

 ふと、改めて先行する先輩に目を向ける。先輩の穿いている三菱F-15Jストライカーユニットが、現在の扶桑空軍の主力戦闘飛行脚であることは今さら説明するまでもないだろう。中・短距離戦闘用の魔導弾を最大10発も搭載でき、さらに近接戦闘用の20ミリバルカン砲を右脚に埋め込む形で装着している。それでいて空中戦闘機動能力も各国のそれに決してひけを取らない。しかも最大武装を搭載した状態でも軽く音速を超えるスピードで飛行することができる。

 その性能はまさに空の王者と呼ぶにふさわしい。仮にも機械化航空歩兵を夢見た扶桑の人間なら、誰でも一度は憧れる機体だ。もっともくすんだ灰色に塗装されていているのがデザイン的にイマイチだけど、それはなるべく空に溶け込み、少しでも敵に発見される可能性を低くするための工夫である。こればっかりは仕方がない。

『チトセより各隊へ。作戦は予定通り発動。所定の計画に従い行動を開始せよ』

 今日はチトセと名乗っている、今回の作戦を指揮する空中管制機からの通信がインカムに響く。今回の目的は大陸深部から侵攻中の敵集団に対し阻止攻撃を実行すること。このため扶桑帝国に点在する基地群から、少なくとも百機以上のウィッチが参加している。さらそれを支える支援要員も含めると、おそらく万単位の人々が関わっているに違いない。

 もし一度でも敵の本土侵入を許したら、けっして広いとはいえないこの国の被害は極めて甚大なものになるだろう。勝つことまでは期待されていないが、決して負けることだけは許されない。

 二十世紀中ごろに突如として侵攻を開始した正体不明の敵、ネウロイ。それ以来、人類は世界のあちこちでそれこそ死に物狂いの抵抗を続けている。しかしかれこれ100年近くたっても決定的な勝利を収めるには至っていない。通常兵器はもとより核兵器もほとんど受け付けない敵に唯一対抗できるのは、こうしてストライカーユニットを身にまとった私たち魔女だけ。かなり控えめに見ても、人類の命運はかなりきわどいところでようやく繋ぎとめられているのだった。

 だけど物事にはいろいろな側面がある。この状況だって決して悪いことばかりじゃない。もしネウロイが攻めてこなかったら。もしくは簡単に撃退されしまっていたら。きっと私はさして取りえもない普通の少女としての人生を送っていたに違いない。たとえば日々学校で退屈な授業を受けたり、休み時間には友だちとおしゃべりしたり、放課後には何か部活したり。ギターなんかわりと好きだから、ひょっとしてバンド活動に熱を上げているかもしれない。

 もちろんそれらは、どれもこれもバカバカしい妄想だ。
 しかしただひとつだけ、はっきりしてることがある。

 それは──。

『エニワ01、こちらチトセ。Xポイントまであと600秒。目標の動きは現在まで変化なし。送レ』
『エニワ01了解。こちらは問題なし。全て予定通り』

 はるか後方から私たちを見守る空中管制機と先輩の短い会話を耳にすることで、ようやく我に返った。念のためにHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を一瞬だけ起動して、自分の周辺状況を確認する。データーリンクを通して送られてくる脅威情報を見る限り、近くにヤバそうな敵はいないみたい。

 もっとも今回の任務で目標とされている周辺には、すでに無数の敵と味方のシンボルマークで大混雑している。もしその一部でもこちらに向かってくるとかなり面倒だけど、あらかじめ私たちより先行してる別働隊が、それらの注意を惹きつける計画になっている。一見するとレトロ感ただようテレビゲームの画面みたいだけど、そこではウィッチたちの命を賭けた戦いが繰り広げられているのだ。私にできるのは黙って見つめていることだけ。頑張れ、負けるな、と願いつつ。

 それらを確認してから、再びHMDをオフにした。接敵予想時間にはまだ時間がある。少しでも電力を節約し、同時に敵に自らの存在を暴露する可能性はできるだけ低くしておかないと。それにしてもこのHMD、便利なのはいいんだけど、もうちょっと軽くできないものかなあ。長時間飛んでると、けっこう首にクるんだよね。

 そうこうしてるうちに、先輩から絶え間なく吐き出されるジェット噴流が、かすかに細く長い飛行機雲を発生させはじめた。それをかぶってしまわないよう、私はほんの少しだけ高度を下げる。すると必然的に、先輩の身体を下から見上げるような形になる。たとえば風になびく長くつややかな黒髪とか、ストライカーユニットからチラリと見える真っ白いフトモモとか、そして何よりも野暮ったい軍服の上からでもはっきりとわかる女性らしいシルエットとか──。

 と、その時。

『エニワ02、。ちゃんと空中警戒してる?』
「は、はい。すいません、先輩」
『何に気を取られてるか知らないけど、もう少し集中しような』
「了解です。気をつけます」

 全身から冷汗が吹き出し、同時に鳥肌が立つのを感じる。私より前を飛んでるのに、どうして先輩のこと見とれてるってわかっちゃうんだろう。ほんと、ベテランのウィッチって凄い。

    ◇  ◆  ◇

 それからしばらくの間、ふたりきりのデートを楽しんでると、再び先輩の声がインカムに響いた。

『エニワ02、Xポイントまであと120秒。よろしい?』
「はい先輩……じゃなくてエニワ01、了解です。これより充填作業開始します」
『ほんとに大丈夫なんだろうな。大切な任務なんだから、もっとしっかりしてくれよ』
「もちろんです、まかせてください」

 これまで飽きるほど繰り返してきた訓練の通りに、索敵レーダー、HMD、アーマメントコントロール等の起動スイッチを順番にオンしていく。敵に発見されるのを恐れてスタンバイ状態にしていた電子兵装が次々と息を吹き返す。少し遅れてHMDの右下に現在の兵装状況が表示される。

 RDY GUN
 RDY SWORD
 RDY AAM-Ⅴx2
 NG  AAM-Ⅳx4

 雑念を脇に置き、私は唯一NGになっていたAAM-Ⅳへの魔力の注入を開始した。黒猫──私の使い魔が苦しそうな声なき声を上げるのを感じる。心の中でごめんと謝りながらも、慎重に魔力を注入する作業だけはやめない。早すぎては魔導弾の弾頭が負荷に耐えられず、かといって遅すぎては時間がかかり過ぎ、敵に気づかれてしまう。

 私のストライカーユニット三菱F-2Cは本来、高機動格闘戦と大型魔導弾による一撃離脱戦の両方を主目的に開発されたマルチロール飛行脚だった。しかし現在に至ってもその開発は終了していない。新規に開発されたMB&H-F110魔導エンジンに、高機動時にストール──原因不明の突発的な停止──するという不具合が発見され、未だにそれが完全に対策し切れてないからだ。

 本来ならとても実戦配備など考えられないこの飛行脚を私が穿いている理由はいくつかあった。たとえば主力戦闘脚であるF-15Jの慢性的な不足や、それを使いこなすための私の力量がまだまだ足りないということもある。しかし最大の理由はAAM-Ⅳ大型魔導弾の早期の実戦投入が急務であり、そしてこれを運用できるのがF-2Cのもう一つの特徴だったからだ。

 近年ますます強大化する敵の中核部を大遠距離から一撃で叩ける大量破壊兵器、それがAAM-Ⅳだ。F-2Cはこれを最大4発搭載し、同時に運用する能力を付与されている。半年ほど前に行われた最初の実戦試験では、これまでF-15Jを集中運用することでようやく達成してきた成果を、たったの二発で実現してしまったのだ。中央の偉い人たちがこの大戦果を無視できるはずがなかった。

 そして残念ながら現在のF-15Jでは、様々な理由でAAM-Ⅳを搭載し運用することができない。私のようなひよっこウィッチが、先輩のような熟練ウィッチの指導の下でAAM-Ⅳを運用するという変則的な戦法が取られることになったのは、こうしたどこかコメディを思わせる経緯によるものだった。

 知らず知らずのうちに緊張していたらしい。かすかに震える右手を左手で押さえつける。

 そういえばあれは、初めての出撃のときだっけ。

 ブリーフィングルームで作戦の説明を聞いていた時、緊張でガチガチになっていた私の右手を、隣に座っていた先輩がそっと握りしめてくれた。それでようやく私にも気づくことができたのだ。先輩の手もまた、同じように震えていることに。

 ──何度飛んでもこれだけは慣れないな。
 ──ホント、困ったもんだよ。
 ──仮にも帝国空軍の軍人が、こんな風に怖気づいてるようじゃね。

 わずかに頬を染め、照れたように笑みを浮かべた澪先輩の顔は、まるで真夏の太陽みたいに眩しかった。それはもう、未だに夢にみるくらいの感動を覚えたものだ。

 もしあの時、先輩もまた私と同じような気持ちなのだと気づかされなかったら、緊張と恐怖に耐え切れず、その場を逃げ出していたかもしれない。まがりなりにもこうして人並みに与えられた任務をこなせるようになったのも、ひとえにあの時の先輩の優しさにほかならないのだった。いくら感謝しても、し過ぎということはないと信じている。

 仮にネウロイのいない平和な世界が存在していたとしたら。そこで私が生きていて、安穏な生活を送っていたとしても、それは半ば死んだも同然な人生にちがいない。だってその世界では、澪先輩と出会うことなどありえないのだから──。

 この戦争が起こったからこそ澪先輩と出会うことができた。だから私は、ネウロイが存在して人類に戦争を仕掛けてくれてよかった。このクソッたれな世界だって決して悪いことばかりじゃない。そう思うことだってあるのだ。さすがにこんなバカげた考えは、たとえカウンセラーにも話すわけにはいかないけど。

「それにしても、未だにSWORD──刀が標準装備っていうのは、正直どうなんでしょうね」
『仕方がないんじゃないか。規則というか、半分伝統みたいなものだし』

 少しでも自分の緊張をほぐそうと他愛ない会話を振ると、澪先輩は律儀にも乗ってきてくれた。

『なんせ最初に敵と遭遇したウィッチたちは、小銃と刀だけで白兵戦を挑んだっていうしね』
「それ、学校でも習いました。<扶桑海事変>ですよね」

 GUNや誘導弾が主戦兵器となった現在でも、未だに伝統的な扶桑帝国の刀である扶桑刀が装備に加えられているのは、その当時からの戦訓なのだという。GUNや誘導弾は弾切れという問題を常に抱えているが、刀剣であれば魔法力が維持されている限りいくらでも戦えるという理屈だ。そういうわけで、扶桑製のストライカーユニットには必ず扶桑刀が収められている。例えばF-2Cの場合だと左のすねのあたり。

「でもアレですね。私がそれを使うような事態だけは、あんまし考えたくないです。やっと剣道初段を取ったばかりなのに」
『そうだな。その点は私も似たようなものだよ』

 少しおどけたような先輩の言葉に、私たちは同時に小さな笑い声をあげた。ほんとうにたわいのないやり取りなのに、どうしてこんなにも楽しくて幸せな気分になれるのだろうか。

 それにしても我らが大先輩たちにはありったけの敬意と感謝を表したい。もし彼女たちの捨て身の活躍がなければ間違いなく人類はその時点で絶滅し、こうして私と澪先輩が並んで空を飛ぶという未来も存在しなかったに違いないのだから。



 やがて1分ほどして魔法の充填作業が終わり、すべてのAAM-Ⅳの表示がNGからRDYに変わる。

「エニワ01、エニワ02。これより発射作業に入ります」
『エニワ01了解。頑張って』

 いつものやり取りなのに、先輩の『頑張って』のひとことにまたもやドキッとしてしまう。いやいや、今は任務に集中しなくては。

 魔力の充填状況を再確認してからAAM-Ⅳ誘導システムを起動。すべて問題なし。アーマメントコントローラよし。セフティロック解除。さらに念のために近接格闘戦用のドグファイトコントローラも起動。目視とHMDで周囲を確認。重大な脅威目標は存在せず。

 AAM-Ⅳの運用には重大な制約がある。大威力であるが故に、発射直前に膨大な魔力を注入しなければならず、しかも目標に命中するまでそれを誘導し続けなければならないのだ。だからもし発射準備から命中までの間に敵に攻撃されたら、黙って撃墜されるか、さもなければ任務を中断して逃げるしかない。そのためにエスコート役としてF-15Jがつけられているわけだ。

 そして秋山中尉だからこそ、すでに19機撃墜という実績を誇る澪先輩に守られているからこそ、私も安心して作業に没頭できるのだ。こうして魔導弾の準備から発射、さらに命中までの合わせて3分ほどの間、私は空中でただの的になり下がる。先輩に全てをゆだねて。

「エニワ01、エニワ02。これより発射する」
『エニワ01了解。健闘を祈る』

 短い返信と同時に、澪先輩が私の方に顔を向けで小さく左手を振って答えてくれた。ささいなことだけど、その心遣いがとてもうれしい。しかもその拍子に、澪先輩の頭に生えている長い純白のウサ耳までがちらりと見えた。ラッキー。これで攻撃成功は間違いなし。

 それにしてもホント、澪先輩のウサ耳は可愛いなあ。使い魔がウサギだからあたりまえなのだけど、澪先輩+ウサ耳の破壊力ときたらマジでハンパじゃない。他の先輩たちは、私の使い魔である黒猫のネコ耳のことをあれこれ褒めてくれるけど、正直どこに目をつけてるのかと言いたくなる。あの可憐なまでのカワイさがわからないなんて、まったくもって気の毒というか可哀想というか──。

 おっと、もうそんなアホなこと、考えてる場合じゃなかったんだっけ。現実逃避の思考を切り替える。右手にうっすらと浮かぶ汗を軍服のすそでぬぐい、改めてミサイル発射用のレリーズを握り直す。HMDに表示されている残り時間、わずかに10秒。

「3、2、1。ファイヤ!」

 左右の飛行脚に2発ずつ取り付けられていたAAM-Ⅳを順々に発射する。そのたびに身体に鈍いカツンという衝撃が走る。重量を失って跳ね上がりそうになる機体を懸命に操作する。機体から離れたAAM-Ⅳは一瞬だけ高度を下げ、それからかすかに白い煙を吐きながら再び高度を上げて、みるみるうちに加速していく。まもなく私たちが全速を出しても追い付けない極超音速に達するだろう。

 もちろんその光景に見とれているヒマはない。敵味方が乱戦を繰り広げている空域、さらのその向こうに居座っている敵の本体まで、魔導弾を確実に誘導しなければならないのだから。

『エニワ01、チトセ。敵小型機4、左下方より急速接近中』
『エニワ01了解、迎撃する』

 交信終了とほぼ同時に、澪先輩の飛行脚から中距離魔導弾AAM-Ⅲが4発同時に発射された。普通ならあれだけ大量の重量を失うと機体が浮き上がってしまうものだが、さすがは澪先輩、そんな気配は少しも感じさせない。いったい何年飛んでいればあんな機動を身に付けられるのだろうと思い、それから私と先輩の経験差がたったの1年しかないという事実に気づき、改めて慄然としてしまう。

 やがてHMD上で、AAM-Ⅲの軌跡と敵シンボルが交差する。

『2機撃墜、1機撃墜不確実。残り1機は依然進行中』
『了解、これより対応する』

 澪先輩が華麗にバレルロール。一瞬にして私の視界から姿を消す。もっともHMDが追尾しているから位置はきちんとつかんでいられる。もちろんその間にもAAM-Ⅳを制御することだけは忘れていない。目標まであと20秒。当たって。お願いだから。

 AAM-Ⅳが立て続けに命中するのと、澪先輩が生き残った1機を片づけるのは、ほぼ同時だった。これで別働隊と交戦していた敵部隊も撤退に移るか、さもなければエネルギー切れで自滅するだろう。少しだけ緊張が緩むのを自覚する。

『エニワ02、エニワ01。おめでとう、これで無事任──』

 その時だった。突然、朗らかな声の澪先輩の通信が途絶えたのは──。

(『後半』につづく)

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Author:あっとあとみっく
おもに百合(GL・ガールズラブ)な小説と周辺情報を公開しています。最近はコミPo!でオリジナル百合4コマも。現在は「けいおん!」、「魔法少女まどか☆マギカ」とオリジナル。カプ傾向は澪梓、憂梓、恵和あたり。あと、ほむほむは百合。
このブログはリンクフリーですが、相互リンクはお受けしておりません。ご了承くださいませ。
注:管理人の名称は「あっとあとみっく」が正式ですが、ごくまれに「藍」と名乗ることもあります。

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