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『それは愛にも憎しみにも』(魔法少女まどか☆マギカSS)

魔法少女まどか☆マギカのSSを公開します。

まだCPとかないです。強いて言えばまどか総受け(ぇ

先日ついったーで呟いた
『マミほむ対決中に、さやかがまどかを拉致して逃亡。杏子も出るよ』
になってる……はずなんだけど(滝汗

それにしても朝ごはんも食べずに何やってるんでしょう私はww

それでは、お楽しみくださいませっ!





 『それは愛にも憎しみにも』



 戦うもの。守りたいもの。命をかけるべき、もの。
 そんなもの、ひとつもなかった。

    ◇  ◆  ◇

 ナニこれ。わけ……わかんない、よ。

 なんで。
 どうして。
 こんなことになっちゃったのか。

 どうみても優しいお姉さんにしか見えない、いろんな意味で先輩の巴マミさん。その柔らかな視線と物腰に接してると、ただそばにいてくれるだけで、なんだか私までポカポカしてきてしまう。今までロクに他人の役に立ったためしのない私でさえ、この人のためならと思わせてしまう。そんな感じの人。

「貴女には二度と会いたくない。そう言ったはずだけど」

 でもその彼女が私の目の前で、普段の態度からはとても想像出来ないような冷たい言葉を、相手に向かって投げつけていた。それは氷の刃のように鋭くて、私に向けられたものではないとわかっているのに、それでもグサリと自分の心に突き刺さる。痛くて痛くて、もうものすごく痛くて。たったそれだけのことで、私はズタズタに引き裂かれそうだった。

 だけどマミさんに真正面に相対してる当の本人は、眉ひとつ動く気配すらない。まるでその声が聞こえてないみたく。

 彼女の名前は暁美ほむらちゃんという。一言で言い表すと、謎の美少女。黒のロングヘア。整った顔立ち。すらりとした肢体。そして超然とした態度。どれもこれもが、これまで知っているどんな人たちとも違っている。

 先日、私のクラスに転校してきて以来、クラスメイト達がなんとかしてお近づきになろうと、さまざまな努力を重ねているところを何度も見かけた。そのキモチはわからないでもない。誰でも興味を……いや、惹かれてしまうだろうから。彼女が身にまとう、ミステリアスな雰囲気に。もっとも幸か不幸か、彼女自身がその誘いに乗ったという話は聞かない。そして今も。

「……」

 無言でマミさんの前に立ちふさがり、一歩も後に引く気配を見せようとしない。まるで鋼鉄の意思と身体を持つロボットみたいだ。その端正な顔立ちにも、まるで感情と言うものが感じられない。

 正直言って、私は彼女が恐ろしい。怖くて怖くて、たまらない。

 最近、私の身の回りに起こるいろんな出来事。そのいくつかに彼女がかかわっている。魔女とか、結界とか、世界に不幸をもたらす存在とか、そしてそれを退治する魔法少女だとか。ここ数日で、私を取り巻く世界はすっかり変わってしまった。

 ああ、ちょっと違うかな。きっと私が知らなかっただけなのだろう。一見平穏に見える街の裏側で、想像もできない戦いが繰り広げられていて、しかも現在もなお続いているという、事実を。その魔法少女のひとりが、同じ中学の先輩である巴マミさんであり、もう一人がこの暁美ほむらちゃんというわけだ。

「用がないのなら、さっさとお帰りいただけるかしら。私には貴女をこの部屋に招待した覚えはかけらもないのだけれど」

 再びマミさんが怜悧な言葉を叩きつける。鈍い私にでもわかる。マミさんがいつになくイライラしていることが。招かれざる客。まさに今のほむらちゃんがそれだった。

 思い出してみよう。

 放課後に『お茶しましょう』と誘われたのは私とクラスメイトの美樹さやかちゃんのふたりだけ。ひとしきり香り高いお茶と絶品のショートケーキを食べっこして、さあこれから本題というところで、さやかちゃんが「その前にちょっと……」と席を外し、まるでそれと入れ違うように、ほむらちゃんが入ってきた。どこからともなく。

 うん、あってるよね。だいたい。

「鹿目まどかは渡さない。絶対に」

 初めてほむらちゃんが口を開いた。それはとても短い、だけど明らかな拒絶。

「どうやら話し合う余地はなさそうね」

 険しい表情でマミさんが応じる。すでに彼女も戦闘態勢だ。魔女と戦う時みたいに。

 だけど私は見てしまった。一瞬だけ私に向けられたほむらちゃんの瞳。その暗い洞窟のようなそれの奥底に、ほんの少しだけ光るモノ。間違いない。それは、どんな海よりも深く沈んだ、絶望と哀しみの色。

 それに気づいた途端、さっきまであれほど私のことを締め上げていた恐怖が、ほんの少しだけ弱まった気がした。

 どうして。
 そんなに哀しいの。
 まさかとは思うけど、もし私にできることが……。

 懸命に口を動かそうとする。だけど声にならない。言葉にならない。全然私のキモチが伝えられない。床にへたりこんだまま、指ひとつ動かせない。ひどくもどかしい。バカな私。無力な私。役立たずの私。こんな時でも、私は、何ひとつ……。

 その時。

 ひんやりとしたものが私の口を塞いだ。視界いっぱいに蒼が広がり、一瞬遅れて懐かしい匂いに包まれる。

 え……と。

「遅くなってゴメン。ここはひとまずトンズラしよう」

 誰よりも頼りになる親友、さやかちゃんの声が私の耳をわずかにくすぐる。小さくうなずき返すのがやっとだった。



 足元がよろめく。決して私だけのせいじゃない。建物自体が大きく揺れたのだ。わずかに遅れ、お腹の底に響くような爆発音が何度も響いてくる。ニュースや映画でしか聞いたことのない、バクダンや鉄砲の音に似ているような気がした。でも私には、振り返ってそれを確かめる勇気もない。

「逃げるよ、まどかっ!」

 小さく叫ぶさやかちゃんの声で、ようやく手足にほんの少しだけ力が蘇る。靴を履くのももどかしく、乱暴にドアを開け放つさやかちゃんに手を引かれながら、ようやく私たちはマミさんの部屋から外の世界へ飛び出した。

 背後でバタンとドアが閉まる音が響く。もう戦う音も声も聞こえない。ひょっとしてここは、この世と別の世界をつなぐ通路か何かなのだろうか。ついさっきまでの出来事が、まるで悪い夢か何かのようで、とても現実のこととは思えない。

「いこう、まどか。大丈夫、あんたは私が守るから」

 ニコリと笑顔を浮かべるさやかちゃんの凛とした声と、痛いほど握りしめられた手から伝わってくるぬくもりだけが、今の私のリアルだった。いつまでもそれに甘え、すがっていたかった。

 だけど。

「なんか面白そうじゃない、アンタたち。特に後ろの小っちゃい方とか」

 見知らぬ赤毛の少女が私たちの行く手を遮った。ニヤニヤと笑みを浮かべるその態度は、お世辞にも友好的とは言えない。まるで肉食獣がうまそうな獲物を見つけたという感じがひしひしと伝わってくる。

「なーんか前門の虎、後門の狼って感じだな。今日の星占い、全然当たってないじゃん」

 だけど私には、それがさやかちゃんの強がりだとわかっていた。つながれた手を通じて、彼女も震えているのがわかってしまったから。

 しかたないじゃない。

 だってその時の私たちは、どうしようもなく無力な、ただの少女に過ぎなかったのだから──。

 (おしまい)

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おもに百合(GL・ガールズラブ)な小説と周辺情報を公開しています。最近はコミPo!でオリジナル百合4コマも。現在は「けいおん!」、「魔法少女まどか☆マギカ」とオリジナル。カプ傾向は澪梓、憂梓、恵和あたり。あと、ほむほむは百合。
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注:管理人の名称は「あっとあとみっく」が正式ですが、ごくまれに「藍」と名乗ることもあります。

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