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『パンドラの箱の底に』(魔法少女まどか☆マギカSS)

『魔法少女まどか☆マギカ』のSSを公開します。

『パンドラの箱の底に』というお題です。
ほむら視点でほむまどな内容です。
分量的には4KBほどなので、さらっと読めるくらいかと。

内容的にはほとんどモノローグで、時間的には第4話。
つまり巴マミが逝った翌日くらい…のつもりです。
残念ながら、あまり楽しい内容ではありません。

もしほのぼの系をお望みな方は、
当ブログで別に『魔法少女こみPo☆マギカ』
という4コマもやってますので、
そちらの方をお勧めしておきます。

2011/10/15追記:『パンドラの箱の底に』動画版公開しました。



それでは、お楽しみくださいませっ!



 『パンドラの箱の底に』



 その願いは、君にとって魂を差し出すのに足るものかい?

    ◇  ◆  ◇

 ──こんなところで私は何を待ち望んでいるのだろう。

 夕日の輝きが辺り一面をみごとな茜色に染め上げていた。なんだか最近すっかり見慣れてしまった血の色のようにも思える。それは魔女だったり、あるいは魔法少女だったり、時には普通の人間のものだったりするのだけれど。

 一度学校を出て、適当に時間を潰してから、かつて巴マミが住んでいたマンションの前で待ち伏せていた。きっとあの子のことだから、また泣いているのだろう。巴マミの部屋で。自分が弱いから、お荷物だから、役立たずだからと、自身を責めさいなんでいるに違いない。その点は確信があった。

 痛み? そんなもの、もう忘れてしまった。とうの昔に。

 いいえ、違うわね。

 それはきっと私が魔法少女だから。とっくに普通の人間ではなくなってしまったから。

 痛みなんか必要ない。魔女を倒すには。運命を変えるためには。戦うための力と、鋼鉄のような揺るぎのない決意。それだけで充分だわ。

 そんなくだらない言葉遊びをしていた時だった。

 ひとりの少女が、マンションの出口から儚げな姿をあらわした。このあたりではどちらかというと地味な、市立見滝原中学の制服をカワイらしく着込んでいる。小柄で、か細くて、赤いリボンでセミロングの髪をふたつに結わえ、がっくりと肩を落として歩く姿。大抵の人間なら思わず手を差し伸べたくなるに違いない。「どうしたの?」、「大丈夫?」などと。

 いったい何度、そんな自分の気持ちを押さえつけ、くびり殺してきたことだろう。声をかけたい。慰めたい。頭を撫でてあげたい。抱きしめてあげたい。ボロボロの彼女を支えてあげたい。

 だが。

 あたりまえのことだけど、今の私にはそんな資格などあるわけがなかった。あまりにも死と破壊と硝煙の香りに慣れ過ぎた心には、慰めの言葉など欠けらも残っていない。ましてこんな汚らわしい血まみれの手を差し伸べるなんて、もはや彼女の優しさに対する冒涜とさえいえるだろう。だから私は、ただ黙って、その場に立ちすくむしかなかったのだ。

 ではいったい私はここへ何をしに来たのか。何がしたいのか。何をしようとしているのか。

 ──こんなところで私は何を待ち望んでいるのだろう。

 「ほむら……ちゃん?」

 よろめくように歩き出そうとして、ようやく私の存在に気づいたらしく、再び彼女が立ちどまる。顔には小さな当惑が浮かんでいた。無理もない。まさかこんなところで私と出会うとは予想もしていなかったのだろう。

 しばし呆然としていた彼女は、しばらくして我に返り、あわててゴシゴシと両目をふきはじめる。だからといってもちろん、真っ赤に泣きはらした痕が、そう簡単に消えるはずもない。

 嵐吹き荒れる自分の胸のうち。私はちゃんと隠せているだろうか。もっとも悲しみに暮れる彼女には、とても周りを気遣う余裕はないだろう。でも用心に越したことはない。

 決して気づかれてはならないこと。
 今のあの子は知らないこと。
 理解できないこと。

 ──こんなところで私は何を待ち望んでいるのだろう。

 ああ、そういうことか。バカな私。心の中で自嘲する。

 懸命に無表情を装い、そんな彼女の姿を眺めながら、改めて私は覚悟を固める。どんな手段を使ってでも彼女だけは。

 かつて私はそう誓った。
 最期まであなたを守り通すと。
 たとえどれほどの犠牲を払ってでも。

 それがささやかな、だけど何物にも代えがたい私の望み。

 あなたの未来は、かならず私が、創ってみせるから。

 ──まどか。

 そっと彼女の名をつぶやいた瞬間。
 ほんの少しだけよみがえった。




 とっくに無くしてしまっていたはずの、胸の奥底の痛みが。

 (おしまい)

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Author:あっとあとみっく
おもに百合(GL・ガールズラブ)な小説と周辺情報を公開しています。最近はコミPo!でオリジナル百合4コマも。現在は「けいおん!」、「魔法少女まどか☆マギカ」とオリジナル。カプ傾向は澪梓、憂梓、恵和あたり。あと、ほむほむは百合。
このブログはリンクフリーですが、相互リンクはお受けしておりません。ご了承くださいませ。
注:管理人の名称は「あっとあとみっく」が正式ですが、ごくまれに「藍」と名乗ることもあります。

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