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『けいおん超短編集 その2』(けいおん百合妄想SS)

けいおんのSSを公開します。
ただし今回も超短編集でございます。

実は諸事情ありまして、
最近ツイッターの公式IDとは別に私的IDを取得して、
そちらでアイディアをいただきながら、
超短編をいくつか公開していました。

今回公開するのは、それらを加筆修正したものです。
(ただし最後の1本のだけは新作です)

合計で5本ありますが、全て独立していますし、
それぞれは1KB前後の短いものばかりです。
どうぞご安心ください。

 『緊急メール』(
 『予想外の展開』(
 『市民プールだってかまわない』(
 『炎天下のオアシス』(
 『プラネタリウムの罠』(

それでは、お楽しみくださいませっ!


 『けいおん超短編集 その2』



    ◇  ◆  ◇

 『緊急メール』(

────

 早朝、寝ぼけまなこで憂ちゃんのメールを読むなり、私は自転車を飛ばして病院へ駆けつけた。

「あ、さんっ」

 救急入口というドアから中に入ると、青白い顔をした憂ちゃんの顔が目に入った。そんなにヤバいのか。

「憂ちゃん、はどこだ!」
「こっちです。あ、でも、さ……」

 その声を置き去りにして『処置室』と書かれた部屋に飛び込む。そこで見たものは、白いベッドに身体を横たえ、左腕にチューブを突き立てられたの姿だった。右手一本で器用に漫画の本なんか開いていたりして。

「どうしたんだ、。憂ちゃんから救急車で運ばれたって聞いたけど」
「いやーそれがねー」

 身体を半分起こし、ぽりぽりと頭を掻きながら、は恥ずかしそうな表情を浮かべる。

「夜遅くまでゲームしてからお風呂入ったらそのまま寝ちゃったらしくて、そのままバスタブでぶくぶくっと」
「……溺れた、のか」
「面目ありません」

 ぺこりとが頭を下げた。ここは無事でよかったと安心するところなんだろうか。それとも気をつけなきゃダメだろと怒るところなんだろうか。

 だけど「ごめんね、ちゃん。心配させちゃって」と涙目で謝る唯の顔を見つめてうちに、気づいたら彼女の頭を抱えて抱きしめ、頭を撫でてしまっていた。

 ほんと、しょうがない奴だなあ。唯も、そして私も。





    ◇  ◆  ◇

 『予想外の展開』(

────

「あれ、じゃないか」
「え……先輩?」

 意外な時間、意外な場所で出会ってしまった。予想外の展開にどぎまぎしてしまう。

「その、雑誌の発売日を勘違いしてて、どうしても今日中に買いたくて、それで」
「それはひょっとして、これのことかな」

 目の前に差し出されたのは、私のお目当ての雑誌だった。

「澪先輩も買ってたんですか」
「まあね。ああ、とりあえずも買って来たら」

 そうだった。あわてて脇に積まれていた雑誌をひっつかみ、急いでレジで精算する。もうすぐ今日が終わるところだけど、とりあえず手に入れられてよかった。24時間営業の本屋さん、しかもこんな夜遅くに来るのは初めてだったけど、やっぱ勇気を出してやってきてよかった。

 いっしょに店を出ると、当然のことながら外は漆黒の闇。街路灯はともかく、家の灯かりが明らかに少ないのがわかる。まあ時間が時間だから仕方ないよね。

 ふと気づくと、澪先輩が探るように私の目をのぞき込んでいた。どうやら不安な気持ちがいつの間にか顔に出ていたらしい。恥ずかしさのあまり顔が熱くなる。

「こんな時間だけど、もしよかったらファミレスでお茶しない?」
「どちらかというとコーヒーを飲みたい気分です、今は」
「じゃあ、決まりだね。あとでちゃんと送ってあげるから、安心して」

 そう言って先輩は会心の笑みを浮かべる。さきほどまで抱えていた不安はそれを見た瞬間どこかに吹き飛んでしまった。いやいや、それどころかひょっとして、この後さらに予想外の展開が待ち受けているかも。ドキドキする胸を雑誌の入った袋で押さえつけながら、私はこれから起こるかもしれない出来事に、ちょっとだけ期待し始めていた。





    ◇  ◆  ◇

 『市民プールだってかまわない』(澪

────

「もの凄い混雑ですねー」

 呆れたような声をが上げる。夏休みに市民プールの割引券を貰ったので来てみたのはいいけれど。おそらく連日の猛暑のためだろうか。プールはまるで芋を洗うようなありさまだった。

「ごめんな、。こんな所しか連れて来れなくて」

 たとえばムギだったら、プライベートビーチも同然な別荘へご招待、なんてこともできるんだろうけど。

「平気ですっ」

 ところが梓から返ってきたのは意外なほど力強い返事だった。

「だって……澪先輩の側に入られるだけで、もう怖いくらい幸せなんですから」

 そんな潤み切った瞳で私を見つめてくれる。思わず胸が熱くなった。もちろんそれは絶対に気温や太陽のせいじゃない。

 まったく、いったいどこまで可愛いんだよ、お前ってヤツは。





    ◇  ◆  ◇

 『炎天下のオアシス』(澪梓)

────

「真夏のファミレスって、ほんと都会のオアシスって感じだなー」

 私は冷たい水を一口飲んでから、半ば独り言のように呟いた。外は軽く35度を超える猛暑だという。こんな時ぐらい涼を求めて手近なお店に飛び込んだとしても、決して贅沢すぎることはないよね。

「私はどちらかというとファーストフードの方が気楽なんですけど……」

 メニューをのぞき込みながら、やや血の気が引いた様子の梓がぼやいている。

「確かにそっちの方が値段も安いからな。気軽に入れるし」
「まあ……そうなんですけどね……」

 なぜかわずかに視線を逸らしながら、口元が小さく動いていた。まるでぶつぶつと何か言っているようにも見える。

「ん、何?」
「あ、いえその……」

 少しあわてたような色が梓の瞳に浮かんだ。

「……なんか、こういう所でも、その……澪先輩となら安心できるなあ……と」

 先ほどまでとは打って変わって、新鮮なトマトジュースのような顔色になった梓が、無性にカワイくてたまらない。そんな自分の心臓もドキドキと高鳴り、周囲の気温まであがったような錯覚を覚える。

 その時だった。コップの氷がからんと小さな音を立てたのは。そんな恥ずかしいやり取りをしてる私たちのことを、まるで彼らがおもしろがっているような気がした。





    ◇  ◆  ◇

 『プラネタリウムの罠』(

────

「こういう所は小学校以来だけれど、たまには悪くないわね」

 周りの邪魔にならないようにと、私の耳元に顔を寄せた曽我部先輩が小声でささやいてきた。暗がりで表情までは見てとれない。だが声のトーンから判断する限りでは、戸惑い半分、興味半分というところだろうか。

 一般的にプラネタリウムと言えば、専任の解説係が最初から最後まで面白おかしく夜空の見どころを解説してくれるのが定番だ。以前、私が小学校の社会科見学で初めて訪れた時もそういう形式だった記憶がある。

 だけど最近ここのプラネタリウムでは、土曜の最後の上映だけ解説抜きでひたすらBGMだけが流れる構成になっていることを、最近ひょんなことから耳にした。『星空散歩』と名付けられたそのプログラムに、思い切って曽我部先輩を誘ったのは、きっと彼女ならこういう風変わりな催し物の方が興味を示すだろうと考えたからだ。

 上映直前になっても、ほとんどガラガラといっていい観客席には、数えるほどしか客がいなかった。お互い微妙に距離を取っているから、多少のおしゃべりをしてもそれほど邪魔にはならないだろう。

「一度でいいから、こんな星空を眺めてみたいものね。たとえば南の島のリゾートとかで」
「それも悪くないですね。何もかも忘れて、ただひたすらゴロゴロしてるのも」

 少しだけほっとする。受験勉強に加えて生徒会長という激務をかかえている曽我部先輩の心労を、ほんのわずかでも癒してあげたい。そう思っていたのだが、どうやら気に入ってもらえたらしい。

「あら、ひょっとして通じてないのかしら」

 ところが曽我部先輩はそう言うなり、すっと私の右手に自分の左手を重ねてきた。

「私はね、貴女と二人っきりでそういうことがしたい、と言ってるのだけど」
「あの……それはいったい……」

 動揺し意味を図りかねる私の内心をよそに、先輩は私の右手を両手で優しく包み込むと、静かに自分の胸に押し当てた。服ごしからでも自分の手を通してはっきりと感じられる。柔らかくて、熱くて、ドキドキと高鳴る鼓動までが。

「貴女もそういうつもりだったんでしょ、最初から」

 どうやらもう一つの私の意図は、先輩に完全に見透かされていたらしい。

「私は、別に……そういうつもりでは」

 それでも乾き切った口を懸命に開いて反論を試みる。だが先輩はそれを軽くスルー。

「正直に白状しなさい。そうしたら、ご褒美にもっと優しくしてあげるから」

 小さく上機嫌な声で誘いをかけてきた。もちろん私にはすでに抵抗する力も余裕も失われている。すっかり頭が痺れきって、まともに頭を働かせることもできない。

「可愛いわね、真鍋さん。そういうところも好きよ。普段の生真面目な貴女も、こうしてあわててる貴女も、どちらもね」

 どうやら先輩を罠にかけるつもりが、逆に私の方が嵌められてしまったらしい。ぼんやりとそんな思考が浮かんだ。だけどすぐそれも暗闇に吸い込まれてしまい、そのまま私は──。

 (おしまい)

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Author:あっとあとみっく
おもに百合(GL・ガールズラブ)な小説と周辺情報を公開しています。最近はコミPo!でオリジナル百合4コマも。現在は「けいおん!」、「魔法少女まどか☆マギカ」とオリジナル。カプ傾向は澪梓、憂梓、恵和あたり。あと、ほむほむは百合。
このブログはリンクフリーですが、相互リンクはお受けしておりません。ご了承くださいませ。
注:管理人の名称は「あっとあとみっく」が正式ですが、ごくまれに「藍」と名乗ることもあります。

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