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『嫁は本能寺にあり』(戦国乙女SS)

このブログでは初めてですね。
戦国乙女~桃色パラドックス~の二次創作SSを公開します。
『嫁は本能寺にあり』というお題です。
ノブナガxミツヒデとイエヤスxヒデヨシという、
果たして需要があるのかもよくわからないCPです。

なんかアニメの方でミツヒデ謀反フラグがビンビン立ちっぱなしなうえに、
今日6月2日があの「本能寺の変」の起きた日ということで、
急きょ実質3時間くらいででっちあげました。

その結果…なんか今までにないグダグダな出来な気がします。
ホント申し訳ありませんが、記念日モノということで笑ってお許しいただければと。



それでは、お楽しみくださいませっ!



 『嫁は本能寺にあり』




 半ば火の海と化した深夜の本能寺。そこかしこではノブナガを守ろうと奮戦するわずかな手勢が、圧倒的なミツヒデの率いる大軍に対し、なおも激しい抵抗を続けている。

「お館さま、最後にもう一度だけお聞きします。どうしてもヒデヨシのコト、諦めていただくわけには参りませんか」

 そしてその本殿では、ノブナガとミツヒデが互いの太刀を握りしめ、静かに対峙していた。

「そうじゃのう……あ奴はおもしろいからな。なかなかそういうわけにもいかん」

 血走った眼つきのミツヒデに対し、どこか緊張感を欠いた態度でノブナガは答える。

「だがミツヒデ。わしはそなたの事も大事な家臣だと思っているのだがな。それでは不足か?」
「家臣……ですか」

 みるみるうちにミツヒデの胸の内にどす黒い感情が湧き上がった。

「ですが私はもう、その程度の立場では我慢ならないのです」
「もはや是非もなし、ということか。わかった。そこまで言うのなら仕方ない。お主にこの素っ首、くれてやるとしよう」

 そう言うなりノブナガは、その場にどかり、とすわりこむ。

「なっ……!」
「ほらどうした。わしが欲しいのだろう。早うせんか」
「いやその、そういう意味ではなくて」

 躊躇するミツヒデ。そうじゃない。自分が欲しいのはお館様の命なんかじゃない。なのに、どうしてわかっていただけないのかっ──。

 その瞬間だった。襖の一つが勢いよく開かれ、小さなサルのような何者かが本殿に飛び込んできたのは。

「親方ーっ、大丈夫ですかっ。親方ーっ!」
「げふうっ!」

 背後から不意を突かれ、ミツヒデはその場に前のめりに蹴り倒されてしまう。一方のノブナガは、飛び込んできた人物の正体にすぐに気付いた。わざわざ姿を見るまでもない。こんな能天気な声を上げてこの炎の中に飛び込んでくる者など、彼女の知る限りこの世にただ一人だ。

「ヒデヨシ、なぜここに。今夜はお主、堺の町で食べ歩くはずではなかったか?」
「いやーそれが携帯忘れちゃって。壊れてはいるんですけど、いろいろ思い入れあるし……」

 ──ぶちっ。

 どこまでも能天気なヒデヨシの返事を聞いたミツヒデの脳内で、何かが切れる音が響いた。煮えくり返るような思いでうなるような声をあげる。

「ヒ、デ、ヨ、シーイイイイイイ……」
「あれえ、あけりん。どおしてそんな所で寝てるの? まあ夜も遅いから仕方ないかー」

 ──ぶちぶちぶちぶちぶちぶちぶちっ。

 その一言で、完全にミツヒデはキレた。怒髪天を衝くような勢いで吼える。

「それが人の頭を踏みつけながら言う台詞かあああああっ!!」
「え……あーごめんごめん。ちょーっと急いでたもんだから、つい」

 ようやくヒデヨシが足をよけると、カラクリ仕掛けの玩具の様な勢いでミツヒデは跳ね起きる。その拍子に壊れかけた眼鏡がどこかへ飛んでいく。

「今日という今日は絶対に許さんっ。そこへ直れ。我が刀の錆にしてくれるわっ」
「まあまあ、落ち着いて。ひょっとしてカルシウム足りないんじゃないの。ちゃんと牛乳飲んでる?」
「何をわけのわからんことをっ!」

 太刀が一閃。それを髪の毛一本の差でヒデヨシが避ける。

「わひゃああっ! あけりん、こんな狭いところで刀を振り回したら危ないよっ!」
「貴様ぁ、まだこの私を愚弄するかーっ!」
「わきゃー、ななな何怒ってるのあけりん。私たち親友じゃないっ!」
「そんなモノになった覚えはなーいいいいいっ!!」

 そんな二人のやり取りを微笑みを浮かべて眺めながら、ノブナガはどこからか取り出した盃を煽り始める。

「ほんにこの二人は、仲が良いのか悪いのか……」

 あいかわらず事件の原因が自分自身にあることを、これっぽっちも理解していないノブナガであった。



 ところでこれら三人のやり取りを、さらに隣の部屋で見つめている者がいた。一見してかなりの美少女のはずなのだが、もしその顔に浮かんだ表情を見た者がいたとしたら、皆が皆、同じ思いを抱くであろう。悪鬼羅刹の類がおる、と。

「まったく……この期におよんで何をやってるのかしら。ホーッント、使えないわねえ」

 そもそもこの一件を仕組んだ張本人、徳川イエヤスであった。ミツヒデの嫉妬心を煽り、どさくさにまぎれて『伝説の真紅の甲冑』を奪う機会を虎視眈々と待ち構えていたのである。しかし彼女の企みとは裏腹に、まるでじゃれ合いのようなヒデヨシとミツヒデの茶番劇はなかなか決着がつかない。

「こうなったら、いっそこの私が直接手を下すしか──」

 そう決意しかけた瞬間──。

「ホントにもう、あけりんシツコイぞっ!」
「……へっ?」

 急にイエヤスの周りが明るくなる。思い切りヒデヨシがイエヤスの潜んでいた部屋の襖を開けてしまったからだった。

「あれえ……とくにゃん。どうしてこんな所にいるの?」
「なん……だと……?」
「……んん?」

 途方もなく気まずい空気が三人と一人の間に流れる。その状況で、誰よりも早く我に返ったのはイエヤスであった。流れるような動作で葵の紋の錫杖を振り上げる。

 ──殺るしかない。さもなければこちらが殺られるっ

「光魔葵ノ──」

 だがその詠唱は、もっとも近くに立っていた少女によって阻まれてしまう。

「必殺、耳はむアターックッッッッ!!!!」
「ひあああぁぁぁぁぁんんんッッッッ!!」

 まさかのヒデヨシの先制攻撃に動揺したイエヤスは致命的な失態を犯した。呪文の詠唱中に精神集中を乱すこと。それは即、魔力の暴走につながる。

 直後。

 外で攻防の真っ最中だった全員すら度肝を抜かれるような大爆発が発生し、本能寺の本殿は瞬時にして京の都から蒸発したのだった──。

    ◇  ◆  ◇

「何を弱音吐いてんの。もっとちょっとしっかりしなさいよ。仮にも『伝説の真紅の甲冑』を継承した以上、きっちり働いてもらうんだからねっ」
「だってー、まだ眠いよー。っていうか、最近とくにゃんキャラ変わってない?」
「そんな細かいことはどうでもいいのよっ!」

 柳眉を寄せ怒鳴り散らすイエヤスに、ただただヒデヨシは縮こまることしかできない。もうすでに涙目状態である。

「スペインのフェリペ2世とか、イングランドのエリザベス1世とか、そういう危ないのがいつ攻めてくるかわかんないんだし。だいたい明や朝鮮だって油断はできなんだから」

 泣きたいのはこちらの方だと内心イエヤスは思う。なにせ欧州の蛮族どもがこの黄金の国に目をつけ、続々と大兵力を送り込もうとしているのだ。すでに南方に放ったハンゾウの配下の者どもから、彼女の元にそれらの情報が刻々と伝えられている。

「もういいよ……そんなの、どうでも。ねえ、とくにゃん、私と代わって」
「それができれば誰も苦労しないわよっ!!」
「ひいっ!」

 中でもイエヤスが危機感を覚えたのはスペインの動向だった。すでにフィリピンにはスペインのパルマー公率いる『無敵艦隊』が現れ、周辺国を次々に攻め落とし始めているという。弱そうな邪魔者を先に片付け、後顧の憂いを無くす事で万全の体制を整えるという、子どもにもわかる理屈だった。獅子は兎を捕らえるにも全力を尽くすというが、まさにそのお手本のような軍事行動である。

「ご先祖さまが認めたものしか、その『伝説の真紅の甲冑』を使いこなすことはできないんだからっ。ノブナガとか、あんたとか!」

 ──まったく……ご先祖さまにも困ったもんだわ。

 中でも欧州の覇者として、この国にまで伝え聞こえる、フェリペ2世の率いるテルシオ。欧州をあっという間に席巻したこの最強軍団が、こともあろうに我が国にまで乗り込んでくるというのだ。イエヤスが焦るのも無理はない。

「そんなの、親方やあけりんが戦ってくれればいいのにー」
「だってしょうがないじゃない。『わし等はもう死んだ』とか言って、あのままどこかに逃げちゃうんだから。今頃は奥羽の秘湯あたりでよろしくやってるんじゃないのー?」
「だってそういうの私、絶対向いてないしー」

 ぶつくさと文句を呟くヒデヨシに対し、興味ないわ、という態度をありありとにじみ出しながらイエヤスは応じる。

「とにかく、今はあんたが戦うしかないんだから。もうちょっとしっかりしてよね。でないとこの国ごと皆殺しにされちゃうわ」
「大丈夫だよ。私たちはそんなに簡単に負けたりしないし」

 すると、それまで不満げだったヒデヨシがにへら、とまるで緊張感のない笑顔を浮かべた。たったそれだけのことなのに、何故かイエヤスはドキリとしてしまう。内心の動揺を覆い隠すため、あえて不愉快さを露にしながら彼女は再び口を開いた。

「なんでそんなお気楽なことが言えるわけ?」
「だって……私にはとくにゃんがいてくれるもん。負けるわけないよっ!」

 かああああああっ。まるでそんな効果音が聞こえるほどイエヤスの顔が紅く染まる。

「な、ななななな何を馬鹿なこと言ってるの、あんたはっ」
「あー、とくにゃん紅くなった。カワイー。今夜もまた耳はむイーッパイしてあげるねっ」

 さらに怒鳴り散らそうとしたイエヤスは、その一言でふと我に返った。

「だいたいなんで、私が耳が弱いってあんたは知ってたのよ?」
「あー、それは……」

 ついと視線を逸らしながら、ポリポリとヒデヨシが頬をかく。説明しようがなかった。以前の世界にいたとくにゃんも、やっぱり耳が敏感な娘だったから、などと。あの時とっさにそれを思い出さなかったら、今頃どうなっていたか。

 無言で明後日を向きながら百面相を始めてしまったヒデヨシの様子を見て、イエヤスは深々と溜息をついた。

「まあいい。とにかく、今日も夜まで特訓よ。その甲冑を使いこなせるようになるまで、お休みはなしと覚悟しなさいっ!」

 ひえええ、とヒデヨシが情けない声を上げる。その泣き顔を見るたびに、イエヤスの身体中の血はますます滾ってしまうのだ。

「ほらっ、早速特訓だから。諦めてきりきり歩くっ」
「親方ー、あけりーん。戻ってきてくださいよおおおーっ!」

 かつて本能寺と呼ばれていた場所に新たに建築した練習場へ、なおも泣き叫ぶヒデヨシを力任せにずるずると引きずりながら、イエヤスはぎりぎりと歯噛みする。認められない。絶対に認められるはずがなかった。幼いころからあの年増の玩具として幾多の屈辱を耐え忍んで来たというのに。

「この国は、もう私のものだ」

 そうイエヤスは思い込もうとしていた。であるからこそ守るべき責務がある。国を、山河を、富を、そして民百姓たちを。西方から押し寄せてくる極悪な侵略者共の手から。

 さらに甲冑については別の理屈があった。いつか自分がご先祖さまたちに認められる日がくるかも知れない。その可能性がある限り、どんなことをしてでも生き抜かなければならないのだ。まさに『鳴かぬなら、鳴くまで待とう、ホトトギス』である。

 だからこそ、なのだ。今にもへたり込みそうなヒデヨシの背中を睨み付け、血が滲むほどに唇を噛み締める。よりによってこんな腑抜けに心奪われているなど、到底認められるはずがない。

 ある意味それは、哀れを催すほどに不器用な生き様なのかも知れなかった──。

 (おしまい)

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おもに百合(GL・ガールズラブ)な小説と周辺情報を公開しています。最近はコミPo!でオリジナル百合4コマも。現在は「けいおん!」、「魔法少女まどか☆マギカ」とオリジナル。カプ傾向は澪梓、憂梓、恵和あたり。あと、ほむほむは百合。
このブログはリンクフリーですが、相互リンクはお受けしておりません。ご了承くださいませ。
注:管理人の名称は「あっとあとみっく」が正式ですが、ごくまれに「藍」と名乗ることもあります。

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