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『けいおん超短編集 その3』(けいおん百合妄想SS)

最初に連絡。管理人が7月25日から一週間ほどネットに触れなくなるため、
7月はこれが最後の更新となります。よろしくお願いいたします。

さて。

久々にけいおんのSSを公開します。
ただし今回も超短編集でございます。

先日ツイッターで『パスタプレイ』という
超短編のSSを公開したのですが、
今回の超短編集はそれを加筆修正したものに加え、
さらにの2編を追加してみました。

1編は1KB程度で、それぞれパスタにまつわるお話になっていて、
おのおの若干の関連性を持たせてあります。

 『パスタプレイ ─ の場合』
 『パスタプレイ ─ の場合』
 『パスタプレイ ─ の場合』

というわけで、お好きなCPのSSだけ読むもよし、
全部通して読むとなおよしでございます。

それでは、お楽しみくださいませっ!



 『けいおん超短編集 その3』



    ◇  ◆  ◇

 『パスタプレイ ─ の場合』

────

 新装開店したパスタ屋さんに、に誘われてやってきた。そこで店のお勧めという冷製トマトスープパスタを頼んだのだけど……。

「あのこれ……どうやって食べるんでしょうか」

 途方に暮れたような声をが上げた。二人分頼んだはずなのに、しばし待たされて運ばれてきたのは、優に40センチはあろうかという巨大な1枚のお皿だけだった。もちろんフォークとスプーンはちゃんと2セット用意されているので、お店の人が人数を間違えたとも思えない。

「ここから二人で食べろ……ってことなんじゃないか」
「やっぱ、そうなんですかね」

 こっそりと辺りを見回すが、すでに店内は満席状態だし、この暑いのに順番待ちの行列が外にまで伸びているようだ。その人たちのことを思うと、いつまでも悩んでいるわけにもいかない。

「仕方がない。ちょっと恥ずかしいけど、さっさと食べよう」
「そうですね、仕方がない。仕方がないですね」

 自分に言い聞かせるようにがぼそぼそと呟く。そう、これは仕方がないことなんだ。わずかに頬を朱に染めながら、大皿の向こう側でもこくりとうなずく。

「とにかくできるだけ目立たないように、急いで食べてお店を出よう」
「はい、先輩」

 なんだか胸がドキドキする。満員状態のお店で、二人して同じお皿のものを食べっこするなんて、これはもう一種の羞恥プレイじゃないだろうか。万が一知り合いにでも見られたら、何をどう誤解されるかもわからない。

 こうしてしばらくの間、味わう暇も惜しんで私たちは黙々とパスタを処理する作業に没頭する。なにやら周りの好奇の視線を浴びているような気もするが、それを確かめるような余裕は私たちには存在しなかった。

 ようやくお店の人が私たち用の取り皿を持って来たのは、パスタをあらかた食べ尽くした頃のことだった。要するに同じメニューを複数頼んだ場合は大皿に盛りつけてお客に出し、各自お好みの分だけ取り皿で取り分けて食べる、というシステムだったらしい。

 そういうことならもっと早く取り皿持ってきてくれよ。もう恥ずかしくて死にそう。しくしくしくしく。





    ◇  ◆  ◇

 『パスタプレイ ─ の場合』

────

「ふーん、確かにきれいだし、落ち着いた雰囲気のお店だね。なんかファンになっちゃいそう」

 興味津々という感じで、が屋内を見回す。先日の一件をに話したら、ぜひ連れて行ってと懇願され、仕方なく二人でやってきた。そういえば前回もいちおう中の雰囲気をチェックしたはずだけど、その記憶はどうしても蘇らせることができない。どうやらその後の恥ずかしい騒ぎでどこかへ消し飛んでしまったようだ。

「じゃあさっそく食べようか」

 そう言いながら私の手元に置かれた取り皿を、が手を伸ばしてひょいと回収してしまう。

「あ、あの……、どうして取り皿を?」
「だって私たち、これからこの大皿からいっしょに食べるんだもん。こんなの必要ないよ」

 ……はい?

「何をおっしゃってるのかさっぱり意味がわからないんですけど」
「だからね、こうやって女子同士は同じお皿で食べるって既成事実を積み上げていけば、梓ちゃん達のした事もいずれ恥ずかしい事じゃなくなるでしょ」

 にこやかな笑みを浮かべるの顔をまじまじと見つめてしまう。あまりにも斜め上の発言を頭が理解するのには、かなりの時間が必要だった。

 そういえばこの子って、基本的にしっかり者の常識人なんだけど、たまにこういうトンデモ発言をすることがある。たとえば唯先輩が修学旅行の間、自分が自宅で一人きりになってしまうことに直前まで気づかない、とかね。

「それとも……私とじゃ、イヤ、かな」

 一転して暗い表情を憂が浮かべた。あわてて否定しにかかる。

「そ、そういうワケじゃなくて。ただその、やっぱり恥ずかしいかな、と……」
「それじゃさんとはできても、私とはできない。そういう、こと?」

 目じりに涙を溜め、身体をプルプルと震わせながら、憂の目は私をじっと見つめてくる。こういうのって卑怯だよなあ。なまじ悪気がないとわかってるだけに。これ以上拒否を貫くとやがて涙が決壊して大洪水に至るのは、最近ハズレの多い緊急地震速報なんかよりはるかに確実だった。

 よし。覚悟を決める。恥は一時、友情は一生だよね。

「わかったよ。食べる、食べます」
「別にイヤならそう言ってくれてもいいんだけど……」
「そんなことないって。大丈夫、食べよう。いやむしろぜひいっしょに食べたいっていうか」
「まあ、そこまで言うなら仕方ないか、ふふ」

 一転して上機嫌になった憂に、仕方ないのはこっちのほうだよと心の中で突っ込む。それにしてもあの羞恥プレイをまた繰り返すことになるとは。もうこのお店には二度と来れないなあ。憂に気づかれないように、私は小さなため息を吐いた。





    ◇  ◆  ◇

 『パスタプレイ ─ の場合』

────

「まあまあ、秋山さんも中野さんも可愛いわね」

 クスクスと曽我部先輩が目を細めて笑う。ちょっとには悪いかなとも思ったが、生徒会の仕事の合間に、先日聞いたパスタの件を先輩に話したら、どうやら予想以上にツボにだったらしい。

「ところで真鍋さんはそのお店には?」
「そんな高そうな所はちょっと。それにパスタくらい自分でいくらでも作れますから」
「ふうん、ということはかなり得意なのね、パスタ」
「まあ……人様に自慢できるほどではありませんが、それなりの自信はあります」
「そこまで言うのなら、ぜひ私にもふるまっていただきたいものだわ」

 そこで先輩がすっと真顔になる。なんだろう。思わず身構える。おそらく何かよからぬことを思いついたに違いない。

「でもアレよね。ただ同じお皿で食べるだけってくらいでは、まだまだ甘いわ」

 先輩の目に妙に妖しい火が灯ったように見えた。もうかれこれ2年近く生徒会活動をしてるけど、こんな姿は初めてだ。立ち上がるなり、優雅な立ち振る舞いで私の所へと歩み寄ってくる。

「たとえばほら、こんな風にお互い食べさせっこするとか」

 自分の髪をくるくると指で巻いて、私の鼻先にすうっと持ってくる。ほのかなシャンプーの香りに理性が揺らぐ。わからない。いつものように、ただ遊ばれているだけなのか。それとも本当に誘われているのか。

「さ、お食べなさい。真鍋さん」

 静かな、しかし凛とした命令。ぞくりとする。逆らえない。逆らいたくない。視線が釘付けになる。ゴクリと喉が鳴る。ついに理性が誘惑に敗北。ゆっくりと自分の唇を寄せていく。

「なんて、ね?」

 本当に触れるか触れないかという寸前で、曽我部先輩はするりと髪をほどいた。緊張が解け、ほっと安堵する。それが一瞬の心の隙を作った。

「そのうち是非にでも、こんな時間を作っていただきたいものね」

 ふわりと空気を揺らして耳元に口を寄せながら、まるで睦言のように曽我部先輩がささやく。

 疑念は確信へと代わった。先輩のお望みはパスタだけじゃない。きっとおいしくいただくつもりなんだわ。私の心と身体、その全てを。

 その場面を思い浮かべてしまったら、先輩に顔が真っ赤よと笑われてしまった。だけど先輩は気づいているのだろうか。顔どころか全身が期待に打ち震えているという、誰にも言えない恥ずかしい事実に──。

 (おしまい)

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Author:あっとあとみっく
おもに百合(GL・ガールズラブ)な小説と周辺情報を公開しています。最近はコミPo!でオリジナル百合4コマも。現在は「けいおん!」、「魔法少女まどか☆マギカ」とオリジナル。カプ傾向は澪梓、憂梓、恵和あたり。あと、ほむほむは百合。
このブログはリンクフリーですが、相互リンクはお受けしておりません。ご了承くださいませ。
注:管理人の名称は「あっとあとみっく」が正式ですが、ごくまれに「藍」と名乗ることもあります。

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