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『秋月律子の挑戦・ステージ1』(アイマスSS)

コミケ参戦された方々、そうでない方々も、残暑お見舞い申し上げます。

ここでは初めてのジャンルとなります。
THE IDOLM@STER(アイドルマスター)のSSを公開します。
『秋月律子の挑戦・ステージ1』というお題です。

ゲームとか全然しないので名前くらいしか知らなかったアイマスですが、
7月からアニメを見始めてすっかりはまっちゃいまして、てへw
こんなにわかでごめんなさい。

さて「ステージ1」と題してますように、今回は連載の第1回目。
うーん、いきなりこんなことして大丈夫なんだろうか……?

本来は短編で律子がプロデューサーになった過程でも書いてみようと、
お気楽な感じで書き始めたのですが……いやもういくら書いても終わらない。
なんとか4、5回くらいで終われるように頑張ります。

というわけで今回は律子視点で、雪歩と美希の三人を中心にお送りいたします。
それほど長くはないです。8KBほどですので。

あらすじはですねー。

 新人発掘オーディションに審査員として参加した律子と雪歩。
 いい加減疲れ気味の二人の前に、驚異的な新人が姿を……。

これでほとんど語れちゃうくらい、まるで内容なくて申し訳ないんですけれど、
まあそんな感じで。



それでは、お楽しみくださいませっ!



 『秋月律子の挑戦・ステージ1』




 ある日天使が降臨し、終わりの始まりを高らかに告げた。

    ◇  ◆  ◇

 会場の空気がひどく緩んでいるは、決して節電のせいばかりではないだろう。

 まあねえ、アイドル候補発掘のオーディションなんてこんなものだ。目を見張るほどの才能を持つ子なんて100人に1人いるかどうか。どこかやるせない倦怠感が、スタッフの間にまとわりついてしまうのも、まあ理解できなくはない。

 それにいくら夏休み中とはいえ、平日の夜にしか会場を確保できないんだものね。その辺りに、そこはかとなく弱小プロダクションの悲哀が漂ってたり……。いやいや、さすがにそれは自虐が過ぎるというものか。

 そんな中、隣に座っていた萩原雪歩の様子が目に見えておかしくなったのは、オーディションもそろそろ終盤に差し掛かった頃だった。なるべく目立たないように顔を寄せ、小声で話しかける。

「雪歩、ちょっと雪歩。大丈夫、なんか顔色悪いわよ」
「いえあの……何でもない、です、多分。ただその、なんというか……」

 そこで雪歩は口を閉じ俯いてしまう。それでなくても気の小さい彼女のことだ。そろそろ精神的に限界なのかもしれない。

「ほーら。言いたいことはとりあえず全部言う」

 次の人のスタンバイを待ってもらうようスタッフにお願いしてから、改めて話を続けるように促す。するとうつむき加減のまま、再び雪歩がぽつぽつと話し始めた。

「みなさんとってもお上手な方ばかりで。どうして私みたいなのが審査員してるのかなあ……なんて思ったら……なんか、凄く申し訳なくて……」
「うーん、それはあまり気にしなくていいんじゃないかな」
「え……っ?」

 意外そうな表情を浮かべる雪歩へ、私はできるだけ柔らかい笑みを向けた。

「今はほら、カラオケとかネット配信とかで歌ったり踊ったりする機会が多いから、そこそこ出来る娘は少なくない。でも大抵はそれ止まりなのよね」
「……それって、どういうことですか。上手ければいいんじゃないんですか?」
「そりゃ下手よりは上手い方がいいけどね。でもそれじゃ、せいぜい宴会、いえ学芸会のレベルだわ」
「それは、いくらなんでも……」

 懸命にフォローしようとする雪歩を半ば無視し、私はさらに言葉を紡いでいく。何を隠そう、今日のオーディションに彼女を審査員として参加させたのは、誰あろう私の発案だ。もちろんそれには理由がある。

「私が、いいえ、私たちが必要としてるのは、将来アイドルとして開花する才能を持っている人間なの。小手先の芸じゃない、見る人達の心を虜にし、夢と希望を与えてくれる。そんな存在。たとえば雪歩、あんたみたいな娘のことよ」
「まさかそんな……大げさな。私、そんな凄い人間なんかじゃありませんよ」

 できるだけ目立ちたくない。ある意味アイドルとして致命的な心理的問題をかかえていることは、うちのプロダクションの人間なら誰でも知っている。それでも彼女がこうして仕事を続けていられるのは、無論その欠点を上回る才能と可能性を秘めていると皆が認めているからこそだ。

「少なくとも私はそう思ってる。雪歩には可能性があるってね。だから765プロは貴女の未来と契約したのよ。必ず磨けば光る、と信じたわけ」
「私の、未来と……ですか?」
「そうよ」

 自信たっぷりに頷いてみせる。

 とにかくこの娘には場数を踏ませることが必要だ。もともとルックスやポテンシャルは充分以上のものを持っているのに、これまでメンタル面の弱さで何度も失敗を繰り返し続けている。だからこういう機会を使ってでも、地道に経験値を積み上げさせよう。それが私の目論見だった。

「みんな見てる。みんな知っている。貴女が毎日どれだけ努力してるか。どれほど真剣に取り組んでいるか。いつかきっとそれが報われる日がやってくる。いいえ、必ず報われるようにしてみせる。だから自分を信じてほしい。誰より貴女が、自分自身の可能性を」
「は……はいっ」

 わずかに頬を紅潮させ、はにかんだ様な笑顔を浮かべながら、小さく、しかし力強く雪歩は頷いてくれた。よし、これなら今日は最後まで持つだろう。

「それでは次の方、お願いします」
「はーい」

 スタッフに声をかけながら、内心でやれやれとため息をつく。相変わらずわかってないのね。貴女はりっぱな才能を持ってるのよ。私なんかとは違うんだから。

 もともと事務員として入社したはずなのに、手が足りないと社長に懇願されてやむなくアイドル稼業に片足突っ込み、さらにはなまじ年上ということで所属アイドル達のアドバイザーまで兼ねてるような、この私とは。

 思わず苦笑いを浮かべそうになる。いったい私って、何者なんだろうねえ。

 そんなことをぼんやりと考えているうちに、いつの間にか次の娘がスタンバイしていることに気づいた。あわてて書類にざっと目を通す。ふーん、まだ中学生ねえ。ルックスはまあまあ。いや待て、年齢を考えるとプロポーションは水準以上か。それに服のセンスも悪くないみたいだし。

 カワイらしい声でやや脱線気味の自己紹介を終え、渡されたマイクを握ると、それを合図に曲のイントロが流れはじめる。だが3小節ほど聞いたところで自分の耳を疑った。まさかこれって……昨日発売したばっかりの、私の新曲じゃない。何を考えてるのよこの娘、と軽く混乱しかけた時だった。それまで軽く目を伏せていた少女が、凛とした視線を私に向けたのは。



 ぞくり、とした。



 そう。たったのひと目で本能的に理解してしまった。間違いない。コイツは当たり──まさかの100人に1人だってことを。

 次の瞬間、明らかに空気が変わっていた。もう会場には、つい先ほどまでの気だるい雰囲気は微塵も残ってない。まるで別の場所、いや小宇宙に放り出されたみたいだ。そしてもちろん、この場の支配者はステージ上でマイクを持つ少女に他ならない。

 やがて曲に合わせて彼女が歌い出す。たちまち意識の全てを奪われる。信じられないほど透明な声。指の先まで研ぎ澄まされた動作。何より圧倒的なまでのパワー。その全てがケタ違いだった。

 しかもそれだけじゃない。昨日発売されたばかりだというのに、歌詞はもちろんのこと、振りの一挙手一投足に至るまで完璧にコピーしているのだ。いちおうネットでPVも流してるから、どんな振り付けかを知ることくらいはできるだろう。だからといって、じゃあ実際に踊れるかとなれば話は別だ。

 嘘よ。ありえない。この私でさえ1ヶ月近くかけてようやく踊れるようになったのだ。それをまさか、たったの一晩でモノにするなんて。常人なら絶対に不可能だわ。

 自己紹介の天然気味の態度にすっかり騙されていた。だけどアレはただの猫かぶり、いやむしろ羊の皮を被った狼という表現こそふさわしい。カワイイのは外見だけ。中身は正真正銘の怪物だ。



 やがて彼女が歌い終わっても、その場に居合わせた全ての人々が動作はもちろん、言葉ひとつ発することさえ忘れていた。おそらく、全員が似たような気分を味わっていたのだろう。これは夢か幻か、と。

 いや、ひとりだけ例外がいた。

「凄い……凄いスゴイ凄いっ!」

 シャイな性格が災いし、誰よりも目立つことを恐れるあの雪歩が、すっかり我を忘れ椅子を蹴飛ばすような勢いで立ち上がって叫んでいた。それを合図にしたように、他の人たちが思い思いに辺りを見回しはじめる。これが現実だということを確認するかのように。

 雑誌やテレビ、うちのプロダクション、そして現場。それらで数えきれないほどのアイドルを見続けてきた私にはわかる。コイツは間違いなく本物だ。しかもとびきりの。私みたいな凡人がいくら願い、血のにじむような努力しても、決して手に入れることができないモノ。それをこの娘は、ごく当たり前のように持ち合わせている。

 わずかに肩で息をして、きらめくような汗を滴らせているけれど、それがむしろ恐怖を覚えるほど艶かしい魅力を生み出していた。とても胸が苦しい。ドキドキする。ひどく熱い。身体がワナワナと震えている。初めて味わされる未知の感覚に拒絶反応を起こしているのだろうか。

 彼女こそ生まれながらのアイドル。見る人全てに夢と希望を与える、地上に舞い降りた天使。ほとんどの少女がいくら望んでも、決して手にすることができない、トップアイドルという称号を持つにふさわしい存在。それがまさに今、私達の目の前にごく当たり前のように立っているのだ。

 本当に現実の光景なのよね。次の瞬間、自室のベッドで目が覚めたりしないわよね。そんな感情的な当惑をよそに、嫌になるほど冷静なもうひとりの私が勝手に喋り出す。

「すばらしい。本当にすばらしいわ、貴女。ええと──」

 そこまできて、うかつにも肝心の名前をまだ書類で確認していなかったことに気づく。あわててもう一度書類に目を落とそうとした時、まるで誘うように彼女の唇が動いた。

「エントリーナンバー17、星井美希なの。秋月律子、さん?」

 そう言って彼女──美希は笑った。まるで天使のような、あるいは小悪魔のような、とにかく見るもの全ての心を虜にしてしまう、眩いほどに輝く極上の笑みだった。

 ──明けの明星。

 そんな単語が頭をかすめた。そういえば明けの明星=ルシファーは、ヨーロッパでは天使の長にして悪魔の総帥の象徴だという。私にとって美希のイメージはまさにそれだった。



 今にして思えば、この時に気づくべきだったのだろう。

 この日天使が降臨し、終わりの始まりを高らかに告げたのだ。

 私自身のアイドル生命の、終焉を──。

 (『ステージ2』へつづく)

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注:管理人の名称は「あっとあとみっく」が正式ですが、ごくまれに「藍」と名乗ることもあります。

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