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『ユニークな友だちと』(けいおんSS)

けいおん!のSS(二次創作小説)を公開します。
今回は視点でです。

『ユニークな友だちと』というお題です。

時間的にはの高校一年の夏休みの頃。
アニメの第1期の第10話あたりです。

この回では、いつの間にかが仲良くなっていて、
ふたりで初めてのお出かけ、なんてやってました。

でも、このふたりってどんな風に仲良くなったのか……。
今回はそれに関する妄想です(笑)。
前回のSSが残念ながら百合エッセンス皆無だったので、
今度はすこーし頑張ってみました。

といってもまあ、うちの子たちなんで、
いきなり押し倒したりするようなことは無いです(笑)

それとですね、以前にここで公開したのSSで
『仔猫のようなクラスメイトに』というのがあるんですが、
そちらもあわせてお読みになるといいかも。
こちらは視点での出会いの話になってまして、
今回の話と微妙につながってます。

いちおう今回の話は、それを読まなくても話が通じるように
書いたつもりではあるんですけどねー。

それでは、お楽しみくださいませっ!


『仔猫のようなクラスメイトに』から)



 『ユニークな友だちと』



 ──私は都合よく彼女を利用した。

    ◇  ◆  ◇

 はあっ。
 明日から高校最初の夏休みなのに。

「あははは、そっかー。昨日もそんなコトあったんだね。そう言えばちゃんって、」

 楽しい。と話していると。
 嬉しい。にカワイイって言われると。

「ほんと、今日も暑いなー。梅雨も明けたし、一学期も終わったし。いよいよ夏本番って感じ」

 苦しい。の笑顔をながめていると。
 つらい。に見つめられると。

 ごめん、。ごめん。

「でねー、今朝もお姉ちゃんが、」

 こうして唯先輩のこととか話しているはすっごく幸せそう。だけどそんな彼女の顔を見れば見るほど、私の中で罪悪感が荒れ狂う。私は彼女のことを利用しているから。姉のことを心配する彼女の気持ちを利用して、友だちのふりをしているから。

「えー、なにそれ。やだもー、律さんたら、そんなことまで、」

 だめだ。もう私は、憂のことを直視できない。

「んー?」
 私の顔を、心配そうに憂が下からのぞき込んでくる。
「なんかちゃん、余計なこと考えてるでしょ。おねーさんに言ってみなさい」
 たまらず目をそらす。身体中がこわばる。もう、無理。これ以上無理だよ。

「……憂のお姉さんが軽音部員だって聞いてから」
「え……?」
 戸惑うような表情を憂が浮かべた。だけどかまわず私は続ける。
「それから憂の様子を見てたり、気を引いたりして」
「どうしたの、急に」
「新入生歓迎会の日だって、言いたくて。でも言い出せなくて」
「あの……」
「私は憂を利用したんだ。ううん、今だってそう。唯先輩のことダシにして、憂の気を引こうってやっきになってる。唯先輩のことがわからなくて、憂からいろいろ聞き出してる」

 これがただの知り合いやクラスメイトなら、どうってことない。誰でも大なり小なり似たようなことやってるし。
 でも私は、憂にだけはこれ以上ウソをつき続けたくない。たとえ二度と口を聞けない間柄になってしまったとしても、この子にだけは。

 そんな感じで私の思いを洗いざらい吐き出してから、最後に付け足した。
「軽蔑……したよね」
 安堵と悲しみがごちゃまぜになったようなヘンな気持ちが、頭の中でぐるぐると回りだす。

 終わった。全部、終わった。

「んー」
 わずかに憂は視線をはずし、あごの下に手をあてて、ほんの少しの間だけ何か考えていた。それから再び私のことをのぞき込む。真剣な色の瞳で。

「いいんじゃないかな、別に」
 思いがけない憂の言葉に、ぐるぐる思考が急停止する。
「……はい?」

 今、憂はなんて言った?
 いいんじゃないか、って。
 何言ってんの、この子。

「あの時、私だってお姉ちゃんのために、ちゃんが軽音部に入ってくれたらなって期待してたし」
 遠い昔を思い出すように、ゆっくりと憂が語り始める。
「だからお互いさまだよ、それは」
「お互いさまって何。意味わかんない」
「それに私も、部活のときのお姉ちゃんの様子が知りたくて、ちゃんからいろいろ聞いちゃってるし」

 てへっ、と自分の頭をコツンと叩く。

「でも私も、ちゃんとちゃんの役に立ってるってわかったから、なんだかとってもうれしい」
「いや、だから、そんな話をしてるんじゃなくて、」
「だから私でよければ、どんどん利用しちゃってよ」
「でも……」
 口ごもる。なんとかして自分の気持ちを伝えたいのに。いや、そもそも私はなんて言いたいんだ。
「それにね。きっかけがどうであれ、私たちはもう、お友だちでしょ?」

 絶……句。

「だってちゃんは、私にだけは本当のこと言わなきゃ、て思ってくれた」
 そんな私のことを真正面から見すえながら。
「それってもう『お友だち』ってことじゃない」
 そういって憂は笑ったのだ。それもとびっきりの笑顔で。

 視界が。
 世界が。
 歪む。

 自分の涙で。

 ほんと、お人好しにもほどがあるよ、憂は。

    ◇  ◆  ◇

 こうして高校最初の夏休みがやってきた。

「おーい!」
「あ、梓ちゃんっ!」

 今日は憂とふたりだけでお出かけだ。そ、初めてのお出かけ。

「でも、本当にいいの? 梓ちゃんのオゴリだなんて。ぜんぜん気にしてないんだよ、私」
「うーん、なんていうか、あのままじゃどうにも納得いかないっていうか。私のケジメ、みたいなもんだから」
「それで梓ちゃんの気が済むんなら、それでもいいけど」

 苦笑いを浮かべながら憂が答えた。そりゃまあ、自分でも苦しい理由だとは思ってるよ。

「で、どこに行く? 今日はもうドーンとまかせてよ」
「それじゃあ……最初はマクダーネルでしょ。それからスホウイのデラックスベリーパフェに、でもってそれからコーンベアーのケーキバイキング!」
「うわあ……お、鬼だ。ここに鬼がいるぞ」
「ウソウソ。マックのバーガーセットだけでいいって」

 なんだろう、これ。絶交まで覚悟したのに。実は夢だった、なんてコトないよね。

「んー?」
 私の顔を、心配そうに憂が下からのぞき込んでくる。
「なんか梓ちゃん、余計なこと考えてるでしょ。おねーさんに言ってみなさい」
「な、なんでもないよ」

 顔が熱いのはきっと真夏の太陽のせいだ。そうに決まってる。

「まあいいか。バーガーでも食べながらゆっくり聞かせてね」
「だから、なんでもないってっ」
「だったらそれも、ケジメの一環ってことにしようかな。もちろん黙秘権は認めません」
「そ、そんなー。やっぱ憂は鬼だー」
「あはは、ウソウソ。そんなことより、ほら。早く行こうよ。ね?」

 そう言いながら憂が私の手を取った。それはとてもやわらかくて、ひんやりとしてて。

 不思議とイヤじゃなかった。

 今年の夏休み。それは高校最初の夏休み。そしてきっと、最高の夏休みになるよ。

    ◇  ◆  ◇

 ──私は都合よく彼女を利用した。
 ──彼女も都合よく私を利用した。

 ──そして今では友だちだ。
 ──何者にも代えがたい、友だちだ。

『森と湖と妖精の王国から』へつづく)
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Author:あっとあとみっく
おもに百合(GL・ガールズラブ)な小説と周辺情報を公開しています。最近はコミPo!でオリジナル百合4コマも。現在は「けいおん!」、「魔法少女まどか☆マギカ」とオリジナル。カプ傾向は澪梓、憂梓、恵和あたり。あと、ほむほむは百合。
このブログはリンクフリーですが、相互リンクはお受けしておりません。ご了承くださいませ。
注:管理人の名称は「あっとあとみっく」が正式ですが、ごくまれに「藍」と名乗ることもあります。

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