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『独立第13女子寮・その2(Part2)』(オリジナル百合SS

オリジナルのSSを公開します。『独立第13女子寮』というお題です。
とある企業の女子寮が舞台の百合ハーレムって感じで。

なお完全オリジナルなので、キャラ紹介など……。

佐島雪乃:IT事業部のテクニカルライター。本作の主人公。
九里原怜:IT事業部課長代理。雪乃の上司。
藤末鈴 :秘書室員。強気美女。
但馬五月:営業部員。元自衛隊員。
朝霧美羽:女子高生。雪乃に可愛がられている。
いのり :第13女子寮の機械警備システム。

(クリックで拡大します)
百合ハー企画キャラ紹介第2版


今回は五月x雪乃あーんど鈴x雪乃がメインですかねーw

ただし第1話よりさらに長くなってしまったので、
お話を3つに分けて三週連続公開とさせていただきます。
今回は第2話Part1からの続きということで。
申し訳ないありません。

それでは、お楽しみくださいませっ!

(『独立第13女子寮・その2(Part1)』からの続きです)



 『独立第13女子寮・その2(Part2)』



    ◇  ◆  ◇

 新人研修用に割り当てられた会議室は、いつにもましてガラガラだった。どこかの電車が遅れているとか。ようやく仲良くなった人達もことごとくその影響を受けているらしく、部屋中を見回しても誰一人見つけられなかった。こんな時、下手に男子に話しかけられたりしたら、とても困ったことになってしまう。そこで最前列の席を確保して、携帯ゲーム機を引っ張り出すと、そのまま講義開始までの時間を潰すことに決めた。

 ──どさっ。

 どのくらい時間がたった頃だろう。無造作にバッグが私の隣の机に置かれ、そのまま無言で女子が座ってきた。普通『お早う。ここ、いい?』の一言くらいあるだろ、と少し気分が悪くなる。

「あの……」

 口から飛び出しそうになった言葉を無理やり飲み込む。

 ダメダメ。こっちから喧嘩を吹っかけて勝てるような相手じゃない。それによくよく考えてみれば、こちらもヘッドフォンをかけて周りの世界を拒絶してるわけだから、あんまり偉そうなことは言えないし。それに少しだけ安堵したのも確かだった。横に座ったのが男子じゃなかったことと、彼女が口を開かなかったことに。

 それでなくても新入社員の間ではいろんな意味で飛びぬけた存在だった。CGみたいな顔立ち、絹のように細く長い髪の毛、見とれるほどのスタイルと美脚、どれを取っても群を抜いていた。入社式で出会ったときの衝撃は今でも覚えている。

 そもそも現実に八頭身、いや下手をすると九頭身はあろうかという人間を直に見るのは生まれて初めてだった。もちろんテレビや雑誌の写真で、そういう人が実在することくらいは知ってる。だけどいざ目の前にすると、どうしてこんなに小顔なんだろ、脳みそ入ってるんだろうか、なんて余計な心配をしたくらい。

 幸か不幸か、そりゃもうでっかいお世話だった。実際に新入社員研修が始まると、接客・電話応対からワードやエクセルの使い方、さらには社会的な一般教養に至るまで、全てが完璧だった。マナー研修の講師なんか「貴女にはもう教えることは何もないですね」と嘆かせたほどである。

 同じ社服を着ていても、いや着ているからこそ、素材のよさが余計に際立つ。そもそもファッション雑誌にモデルとして登場してても全然おかしくない容姿なのだ。その上、年に5,000個しか生産されない超レアもののトートバッグを初めとして、イヤリングやネックレス、足回りなんかで常に超のつく一級品で身を固めている。最初の頃、何も知らない男子達が色めき立ったのも、まあ無理はないかもしれない。

 だが世の中そうそうウマい話がゴロゴロしてるわけがない。美しい薔薇にトゲがあるようなものだろうか。彼女の中身は外見とは、まさしく正反対だった。

 それでなくても美人で背が高いのに、口を開けば上から目線で耳を疑うような罵詈雑言が飛び出してくる。曰く「その程度のこともわからないの」、「学習能力ないのね」、「貴女、人生無駄にしてるわね。アフリカの人に謝ったらどうなの」、「食べることと寝ること以外に、何かできることあるのかしら」などなど。酷いときにはミスった同僚に対し、まったくの無表情で冷ややかな視線を浴びせながら、黙ってすぐそばの窓を指差したことさえあった。

 ──いっそあそこから飛び降りて死になさいよ馬鹿

 そんな彼女の心の声を、目撃者全員が聞いたとか聞かなかったとか。

 美人で頭が良くて仕事スキル高くて、そこへもって情け容赦のない毒舌。これで目立たなかったらどうかしてる。それでなくても気後れがちな男子達、そして引け目を感じる女子達。ものの数日で、彼女に話しかけるような無謀な新入社員は、ただの一人もいなくなっていた。

 そんなことを頭の片隅で考えてながら機械的にゲームをプレイしていると、ふと真横から熱い視線を感じた。ちらりと目を向けると、彼女の視線が液晶画面に釘付けになっている。下手をするとゲーム機に穴が開いてしまいそうだ。

「あの……さ……」

 めずらしく口ごもるように彼女が私に話しかけてきた。聞こえない振りをすべきだろうかと少し迷う。だが。

「もしかしてそれ、『萌え萌えメイドきゅんきゅんハニー』でしょ」
「な、何故その名前を知っているっ!」

 驚愕の叫びを上げてしまった私の事を、いったい誰が責められるだろう。ほんの少し脇からプレイしてるのを見ただけで、ゲームタイトルまで見抜くとは。ましてこんなドマイナーなギャルゲーのタイトル、知ってる人間だって決して多くはないはずだ。なのにどうして。

「そんなにビックリしなくてもいいじゃない。なんかネットの一部で評判だったみたいだから、ちょっと買ってみただけよ」
「ゲームとか……するんだ」

 気まずそうに目線を逸らす彼女の態度が、いつもの雰囲気とまるで違っていることに、さすがの私もようやく感じ取ることができた。ヘッドフォンをはずし、会話を続ける意思を示す。

「佐島さんは、その……どのくらい進んでるの?」

 私の態度にやや安心したのか、彼女が質問を投げかけてくる。

「えーと、とりあえず4人落としたかな。まどかちゃん、さやかちゃん、マミさん、それから杏子ちゃん。今はほむらちゃん狙いなんだけど、さすがに難易度高くて……」
「……ウソ」

 今度は彼女の顔に驚愕の表情が浮かぶ番だった。よほど私の発言が衝撃的だったらしい。

「まだ一人も攻略できてないのよね」

 小さなため息をつきながら、彼女が話し始める。

「何度プレイしてもBAD END。なんなのよこのクソゲー。ここまで女の子たちが可愛くなかったら、とっくに投げ出してるわ」

 その無念さは私にもよく理解できる。手が届きそうなのに届かないもどかしさ。いったいどこで間違ってしまったのか。まるで迷路に閉じ込められてしまったような感覚に陥ってしまう、その気持ちが。

 ファッションでも勉強でも頭の良さでもとうてい敵わない。いやそもそもレベルが、世界が、次元が違う。出会ってからずっとそう考えていたのに。こんな私と彼女の間に接点になりうる要素があったなんて、それこそ夢にも思わなかった。

 それともう一つ。私には彼女がこのゲームを攻略できない理由に思い当たる節があった。

「あのさ、ちょっと聞きたいんだけど、いい?」
「いいけど、何?」

 返事をする彼女には普段の刺々しい雰囲気は微塵も感じられない。こんな自信なさげな所なんか、むしろしおらしくてとっても新鮮だ。

「そのゲームの4日目の朝、友達の質問に『いいえ』って答えなかった? 今日、お昼しないっていう質問に」
「どうだったかな……。攻略対象じゃないキャラとの会話はかなり適当だし……。多分あまり関心なかったから『いいえ』って答えたと思うけど」
「それよっ!」

 閑散とした会場に、勢いよく立ち上がった私の声が響き渡った。たちまち辺りの注目を浴びてしまう。まだ全員集合にはほど遠いが、すでに三割ほどの席が埋まっている。『ギャルゲー好きなオタ女』という風評が広がるのは好ましくない。座り直して声を潜め、会話を再開する。

「それって最重要なフラグなの。そこでフラグ立てておかないと、友達からの情報やアドバイスがうまく得られなくて、攻略できなくなっちゃうの。だからそこは絶対『はい』と答えなくちゃ」
「まさか、そんな所にトラップがあったなんて。何よその超クソ仕様。ありえなくない?」

 半ば呆然という感じで彼女が答える。あまりといえばあまりの事実に、怒ることさえ忘れているようだ。そういえばこんなに長いこと話をするのは初めてかも。しかもなんか知らんが意外にカワイイし。

 それにしても、もっともどこを取っても完璧超人と思われている彼女が、まさかひそかにゲームに興じているとは。人は見かけによらないという絶好のサンプルじゃなかろうか。もっとも本人に告白されてさえ、目の色変えてギャルゲーをプレイする彼女の絵がどうしても想像できないのだけど。

「でもよくそんなこと気づいたわね。私なんか想像もできなかった」
「もちろん私だけじゃとても無理よ。友達に教えてもらったから、ようやくわかっただけで」
「へえ、ギャルゲーの情報交換できるような友達、ねえ」

 それまで殊勝な態度を崩さなかった彼女の顔に、にまあっとした奇妙な笑みが浮かんだ。あれ、なんか地雷踏んだかな。

「ひょっとして、オ・ト・コ?」
「ち、違うっ!」

 よりによってソッチ方面かよ。あわてて否定する。全力で。

「違うから。絶対そんなんじゃないからっ」
「じゃあどういう友達なのよ。普通いないでしょ、こんなロクに宣伝もしてないゲームタイトル知っててヤリ込んでる人なんて」

 言葉に詰まる。必死に頭を働かせて無難な答えをひねり出す。

「ネットの掲示板で知り合った……人だから。実際に会ったことはないんだって」
「ああ、なるほど。そゆことか。よかったらその掲示板、紹介してよ」
「ええと、そのうちに、ね」
「楽しみにしてるわ」

 期待に目を輝かせる彼女に心の中で詫びる。言えない。言えるわけない。妄想大爆発な自作の小説やコミックを発表してるサイトを持ってるだなんて。そこに通って来てくれる数少ない読者の一人に情報を貰ったなんて。恥ずかしいなんてレベルじゃない。万が一それが周りにバレたら、それこそ悶死して灰と化す自信がある。

 いやちょっと待った。その前に確かめておかなきゃ。

「そっちこそどうなのよ。こんなドマイナーなゲーム、それこそかなり濃いゲーマーでもなきゃ存在にも気づかないでしょ」
「通販サイトでお勧めの項目に出てきたのを見ただけよ。だいたいゲームだってそんなに持ってないし」
「ちなみに普段はどんなのプレイしてるの」
「えっと、その……」

 今度は彼女が言葉に詰まる番だった。そりゃそうよね。さすがの彼女も『ギャルゲー好きなオタ女』なんて評判になることを望んでいるとは思えない。

「ええとほら、その……ア……」

 彼女の口から飛び出したのは、一部で熱狂的な固定ファンをもつアイドル育成ゲームだった。それを聞いたとたん、むくむくとイタズラ心が芽生えてしまったのは、まさに天啓と言うべきだろう。

「ほほう。もしかして『箱』持ってるよねえ、それって」
「ば……ち、違うわよ。えっとその、あれよほら、アーケードよアーケ……あっ!」

 そこまで口走った彼女の顔が『しまった』という形に歪んだ。だけどもう遅すぎる。仕掛けた罠はとっくに作動してしまったのだ。一般人には意味不明だけど、ゲーマーであれば常識である『箱』という隠語。慌てふためく彼女の反応は、『箱』=某世界企業が製造販売しているゲーム機の意味だと知っている、と認めたも同然である。

 しかし動揺も一瞬のことだった。すぐさま不敵な、人によっては不遜と呼ぶであろう笑みで、彼女が逆襲へと転じる。

「そういう貴女も、すいぶんとゲームの事に詳しいみたいねえ?」

 ──カーン。

 この世のどこかで戦闘開始のゴングが鳴り響いた──。

 (Part3へつづく)


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おもに百合(GL・ガールズラブ)な小説と周辺情報を公開しています。最近はコミPo!でオリジナル百合4コマも。現在は「けいおん!」、「魔法少女まどか☆マギカ」とオリジナル。カプ傾向は澪梓、憂梓、恵和あたり。あと、ほむほむは百合。
このブログはリンクフリーですが、相互リンクはお受けしておりません。ご了承くださいませ。
注:管理人の名称は「あっとあとみっく」が正式ですが、ごくまれに「藍」と名乗ることもあります。

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