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『Air』(けいおん百合妄想SS)

久しぶりの「けいおん!」のSSを公開します。
『Air』というお題です。視点でな内容です。

別のオリジナル百合SSで「Kanon」ネタをやったので「もしや」と思われた方、ご安心ください。今回は某Keyのゲームとは無関係な内容ですのでw

超短編なのであらすじというほどでもないんですが、が『空気』というものについてイロイロ思いを巡らせるお話になっております。




それでは、お楽しみくださいませっ!



  『Air』



 ──『空気』ってさ、2種類あるよね。

 宿題を片付けてる最中に、ふとそんな考えが浮かんだ。学校と部活を終えて帰ってくると、もう外は真っ暗だ。それから夕飯食べたりお風呂入ったりして、それから宿題を始めると結構いい時間になってしまう。さすがに疲れてきたのかもしれない。休憩をかねて、シャーペンをいじりながら、どうでもいい言葉遊びを始めてしまった。

 地球の生き物になくてはならない『空気』と、雰囲気とかそっちの方の『空気』。アレがよくわかんないんだよね。だって「空気読め」とか言われても、わかんないものはわかんないんだもん。

 そうそう。今のPCを買う時もすごく迷った。だって愛称が『Air』だったから。要するに『空気』だよね、それって。ホントは先輩の持ってる『Pro』とお揃いにしたいというのもあった。だけど、実物を触ってみると意外に重たくて、しかも値段がかなり高くて。だから最初の一台として親にねだるのは……ちょっとね。

 でも何より私の背中を押してくれたのは、いっしょに郊外の家電量販店まで付き合ってくれた先輩だった。今でも鮮明に思い出せる。あの時『Pro』と『Air』を並べて見てたら、先輩がこう言ってくれたんだ。

 ──こうして見ると、まるで私とが並んでるみたいだな。
 ──小さくて軽いけど、とってもパワフルでよく動く。

 そして最後に、まるでダメ押しのような一言を付け加えて。

 ──のイメージにぴったりだよ。

 その一言を聞いたら、それまでむしろ疎ましく感じてた『Air』の方が急に欲しくなっちゃった。我ながらかなり子供っぽい理由だよね。あんまり唯先輩のこと、笑えないかも知れないなあ。

 そんな思い出にふけっていると、ピッという短い電子音が聞こえた。あわてて時計を見ると午後11時。やばっ、もう約束の時間だ。急いで勉強机の上を片づけ、代わりに『Air』を開いて起動する。

「ええと……」

 液晶画面の下に並ぶアイコンからお目当てのをクリックすると、ほぼ瞬時にソフトが起動する。詳しいコトはよくわかんないけど、起動だけなら先輩の『Pro』にも負けないらしい。なんでもSSDとかいう部品のおかげだと教わったけど、正直よくわからなかった。まあ早い分には困ることはないけどね。

 ホント、買ってよかったと思う。『Air』の愛称は伊達じゃなかった。本当に空気みたく軽いのに、とってもよく言う事を聞いてくれる可愛い子。これを買って以来、機会を見つけるたびに他のノートPCを持ち上げてみたけど、未だにあんなに薄くて軽くてよく動く子にお目にかかったことはない。

 なんでも先輩に教わった話によると、そこの社長さんがこのPCを発表する時、ステージの上でA4の紙封筒から取り出して観客に見せたのだとか。会場にいた誰もが驚いたという。そりゃそうだ。厚さ1センチのPCなんて当時は夢物語、いや今でもそう多くはない。

 大体あの会社ってスマホや音楽プレーヤーを作ってる所だとばかり思ってた。だから先輩に「このPCは、あのリンゴのマークの会社が作ってるんだよ」って教えてくれるまで、パソコンを作ってる事さえ知らなかったし。それにしても先輩って、本当にいろんなこと知ってるよなあ。感心しちゃう。

 立ち上げたソフトが接続先を探してる間にも、新たに黄色のアイコンが画面の下に姿を表わし、小さく上下に跳ね始める。これはウイルス対策ソフトが最新情報をゲットしてる、という意味なのだそうだ。

 これを買うまで使っていた親のお下がりのPCだと、対策ソフトのゲットが終わるまで反応が重すぎて何もできなかった。だけど『Air』はそんなこと全然ない。あれほど待たされてたのがウソみたいだ。もう一度あの頃のPCを使えと言われたら全力で拒否するね。

 そう言えばこの対策ソフトの他にも、さらにいくつものプログラムが、このPCの中では動いているらしい。まるで目に見えない小人さんの世界みたいだ。澪先輩は『電子の妖精』って呼んでるけど、なんとなくわかる気がする。人間のために黙々と働いてくれる小さな妖精たち。こうやって澪先輩とお話しする他にも、ネットで調べものをしたり、お買い物したりと大活躍してくれるのも、きっとその小人さん達のおかげなのだろう。

「あ、澪先輩。もうインしてるし」

 受験生の先輩を待たせては申し訳ない。あわててヘッドセットを装着する。カーソルを合わせてクリック。数秒ほど待たされてから、澪先輩の姿が画面に映し出される。それだけでもうドキドキだ。

「こんばんは、。今夜もよろしく」
「こちらこそよろしくお願いします、澪先輩」

 柔らかい笑みで先輩が答えてくれる。誰にも秘密の、1日30分だけのネット越しの逢瀬。部室はなかなかできない、音楽に関するディープな話とか、最近はやりの話題とか、時には……とても他人には聞かせられないキワドイ会話とか。

 携帯メールや電話だけでは伝えられない、澪先輩の空気みたいなもの。今ならはっきりと感じ取れる。先輩は言葉より目や表情に言いたいことが出るから、やっぱりこっちの方がいい。これも全部この子のおかげ。

 もちろん直接会えるのが一番いいけど、なんせ先輩は受験の真っ最中だし、あまり邪魔になっては申し訳ない。だから今はこうして1日30分だけお話させてもらってる。

 いつかそのうち、ずっと側に居られるようになるといいな、とも思う。それが私のささやかな夢。儚い希望。切なる願い。

 今はひたすら忍耐の日々だ。いやむしろ心の奥底へこの痛みと辛さを、決して消えないくらい深く刻み付けておこう。澪先輩の傍にいられるようになる日を迎えるために。

 それまではネットとこの子が一番の頼りだ。学校や部活以外で会えない、澪先輩の息遣いを伝えてくれる、なくてはならない絆。先輩と同じ空気は吸えないけど、だけど先輩の空気を色濃く伝えてくれる、大切な3番目の空気なんだ。

「どうした、? 何か心配事でもあるのか」
「……へ、あ、いや、そういうことじゃなくて……なんでもないです」

 おっと失敗。自己陶酔しすぎて、逆に澪先輩に空気読まれちゃったよ。懸命に笑顔を浮かべ、ヘッドセットを直す振りをしながら、左手の指先でそっと銀色のボディを撫でる。

 こんな頼りない主人だけど、これからもお願いするね。

 私の大切な、3番目の空気、『Air』──。

 (おしまい)


Air_illust




あとがき
今年いっぱいで職場を去る先輩から「貴女ならきっと大切に使ってくれると思うから」と、MacBookAirを譲り受けたのが、このSSを書いたきっかけです。もっとも、アニメで澪が使っているPCが本当にMacBookProかどうかは、京アニさんにしかわからないですけどねw
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Author:あっとあとみっく
おもに百合(GL・ガールズラブ)な小説と周辺情報を公開しています。最近はコミPo!でオリジナル百合4コマも。現在は「けいおん!」、「魔法少女まどか☆マギカ」とオリジナル。カプ傾向は澪梓、憂梓、恵和あたり。あと、ほむほむは百合。
このブログはリンクフリーですが、相互リンクはお受けしておりません。ご了承くださいませ。
注:管理人の名称は「あっとあとみっく」が正式ですが、ごくまれに「藍」と名乗ることもあります。

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