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『特別講習なんだからねっ』(モーパイSS)

「モーレツ宇宙海賊」(モーパイ)のSSを公開します。あの笹本祐一今年の新作アニメですねー。
『特別講習なんだからねっ』というお題です。チアキ・クリハラ視点でチアキx茉莉香な内容です。

えー実は最近「モーレツ宇宙海賊」というアニメが毎週楽しみでして。もちろん他にも『輪廻のラグランジュ』とか『あの夏で待ってる』とかイロイロありますが、今回はモーパイ、しかもチアキx茉莉香という王道で。

最初は「まあ笹本センセの原作だしなあ」と軽い気持ちで見始めたのですが、いや思いのほか面白い。最近のアニメで育った方々には、ちょっとお話のテンポが悪いと感じられるかもしれないですが、こういう重厚なアニメが一本くらいあってもいいなあと思ったり。

さて今回のお話は第6話のAパート。いよいよ宇宙海賊船『弁天丸』の船長になる決意を固めた主人公の加藤茉莉香と、海賊船バルバルーサの次期船長候補であるチアキ・クリハラの絡みから。アニメ本編ではほんの2カットほどで軽く流されてしまったのですが、あのチアキの制服の背中に『見習い』という布切れを誰がどうやって付けたのか、というアホアホ妄想です。長さは約7KBほどの短さですので、さらっと読めるでしょう。

ところでこのお話、実はもう一組怪しいと睨んでるCPがいるんですけど、出番あるのかなあ……。

それにしても先日の『書店にて』といい、今回といい、最近はツイッターで絡んでいただく方々に、イロイロネタを振ってもらうことが多いですねーw

それでは、お楽しみくださいませっ!


 『特別講習なんだからねっ』




「なんで私がそんなものを背中につけなくちゃいけないの。意味が分からないわ」
「だーかーらー、これは弁天丸のシキタリみたいなもんなんだってば」

 両手に『見習い』と書かれた布を握りしめながら力説する目の前の少女は加藤茉莉香という。名門として知られる白鳳女学院の、ごく普通の高校一年生、のはずだった。ついこの間、彼女の父親である宇宙海賊船弁天丸の船長、ゴンザエモン加藤芳郎が不慮の病気で亡くなるまでは。

「郷に入っては郷に従えって言うじゃない。そういうわけで、ちゃちゃっとセーラー服脱いでね、チアキちゃん」
「ちゃんじゃない。だからって、どうしてわざわざ貴女の前で脱がなきゃいけないの。訳が分からない」

 にへら、と蕩けた笑顔を浮かべる茉莉香を見ているだけで無性に腹が立ってくる。相変わらず海賊船の船長になったという自覚はカケラも持ち合わせていないらしい。

「仮に百歩譲ってどうしてもそれを付けなきゃいけないとしても、ちゃんと自分でやるから。貴女の手を借りる理由なんてこれっぽっちもない」
「いやだから、そこを何とか」
「何とかって何!? たとえどんな理由があろうとも、他人の手を借りようとは思わない」
「うーーーーっ」

 しばらくの間、上目づかいに私の事を見ていた彼女だったが、やがて何か思いついたらしく、ぱあっと表情を輝かせる。まるで大輪の薔薇が花開いたような錯覚を覚えた。

「それじゃさ、今度パフェおごってあげるから。お・ね・が・い」
「はあっ!? 今度は食べ物で私の事を釣るつもり? ずいぶんと見くびられたものね。ひょっとしてパフェも食べられないくらい、お金に困ってるような女だと思われてるのかしら」

 バカにしてる。再び私が沸騰しかけたところに、茉莉香は軽く人差し指を左右に振ってみせた。

「ちっちっちっ。私がおごろうというのは、そんじょそこらで食べられるようなモノとはレベルが違うのだよ、レベルが」
「なんですって……?」
「実は『ランプ館』には特別のお客様にしか出してない秘密のパフェがあって、それはもうおいしいのなんのって……はふぅ」

 この船に来て初めて、わずかに迷いを覚える。

 生まれた時から海賊の後継ぎとして育てられた私にとって、スイーツなるジャンルの食べ物は存在することは知っていても、決して自分には縁がないものだと思い込んでいた。だからこそあの『ランプ館』で生まれて初めて口にしたパフェに、まるでこの世のものとは思えないほどの衝撃を受けてしまったのである。こんなにも甘美でまろやかな食べ物が存在しているなんて、まだまだ人生捨てた物じゃないと半ば本気で思ったくらい。

 しかしそれを遥かに上回るパフェが存在している。そう聞かされてしまっては、さすがに無関心を押し通すことは困難だった。

「まさかそんなモノが……。それって、高いの。どのくらい出せば食べられるの?」
「残念ながらソレ、店長が気に入った人にしか出せないんだなー。でも私が頼めば、多分大丈夫。こう見えてもわりと顔は効くし」
「くっ……」

 痛いほどに唇を咬む。そういうことなら仕方がない。ちょっとだ。ほんのちょっと我慢すれば。

「確かなんでしょうね」
「へ……?」
「だから、貴女が頼めば確かに間違いなく食べられるんでしょうね」
「そ、そりゃもちろん大丈夫。どどーんと大船に乗ったつもりで任せて」
「……わかった。乗ったわ、その話」

 なんだかうまい具合に乗せられたような気もしないではない。だがしかし、あの『ランプ館』のパフェ以上のモノが食べられると聞けば、大抵の女子は多少の屈辱などものともしないだろう。少なくともアレを食べた子なら一も二もなく同意してくれるに違いない。

「へえ……チアキちゃんって、意外に着やせするタイプなんだね」
「ちゃんじゃない。そんな無駄口叩いてるヒマがあったら、さっさと縫い付けなさいよ」
「へいへい。お任せください、お嬢さま」

 などと軽口を叩きながら、彼女は器用にも針と糸だけで、私の制服に『見習い』と大書された布を縫いつけていく。てっきり大ざっぱな性格だと思い込んでいたが、よくよく考えてみれば彼女は、大気層の分布を先読みしながら大気ブレーキだけで宇宙ヨットをぴたりと港に着陸させるほどの腕の持ち主なのだ。不器用な人間にそんな離れ業ができるはずはない。

「よし、できた!」
「できたんなら、さっさと返しなさいよ」
「まあまあそう言わずに、せっかくなんだからチアキちゃんの艶やかな下着姿をもう少し堪能させてよ」
「あんたまさか、本当にアッチの気があるんじゃないでしょうね?」
「アッチの気って……どこの気?」
「もういいから、さっさと寄越しなさい」
「あっ、チアキちゃんずるいっ!」

 考え込んだ隙をついて、自分の制服を茉莉香の手から奪い返す。これで一安心だ。

「こうなったら!」

 しかし私の目論見は少々甘すぎたらしい。制服を身にまとう前に、茉莉香が私に思い切り抱きついて来る。不意の攻撃に虚を突かれた私は、そのままベッドに押し倒された格好になってしまった。

「半裸のチアキちゃんとこうしてると……なんかエロいね」
「だ……誰のせいでこんなことになったと思っているの。重いんだからさっさと退いてくれないかしら」
「無重量状態なのに重いも何もないでしょ。それにしてもチアキちゃん、意外に柔らかいですなあ」
「こ、こらっ。ヘンなとこ触んなっ!」

 本能的に身の危険を感じた私は、手近にあった枕でばしばしと茉莉香の頭を力任せに殴りつけた。しかしその程度で怯むはずもなく、むしろ彼女の手の動きはますますエスカレートし、次第に私の胸元へとはい上がってる。

「いい加減に──」

 どうやら本気で痛い目に合わせないと理解できないようだ。私がリミッターをはずそうと決意しかけた時、ぷしゅーっという間抜けな音と共にエアロックが開いた。そこから姿を表わしたのは、あの白鳳女学院の保険医、ミーサ先生だった──いや違う。それはあくまで仮の姿。今はこの海賊船弁天丸の船医、ミーサ・グランドウッド。
 
「あらあら、お楽しみのところだったのかしら。クリハラさん?」
「ち、違います。この子ったらさっきからしつこくて。なんとかしてくださいっ!」
「しょうがないわねえ。いい加減にしなさい、見習いの船長さん」

 そう言いながら軽く茉莉香の頭をコツンと叩く。すると意外にも「はあい」とあっさり彼女は引き下がった。

「あんまり遊んでると、見習いのカリキュラム増やしてもらうわよ」
「ええーっ、勘弁してくださいよミーサさん」

 げんなりしたような表情を浮かべながら茉莉香が抗議の声を上げる。この様子では、これまで随分としごかれていたらしい。

 ──来てくれて嬉しいよ、チアキちゃん!

 あれは単なるお世辞とかではなく、心からの言葉だったのだろう。もともと彼女は裏表の少なそうな性格だと思っていたが、同世代のいない環境に加えて、連日の特訓でかなりストレスが溜まっていたのかも知れない。

 ──宇宙では、チアキちゃんが私の代わりだよ

 確か遠藤マミとか言ったか。彼女の言葉が不意に思い浮かんだ。

 ひょっとしてミーサ先生──いやミーサさんは、こうなることを百も承知で私に特別講習の話を持ちかけてきたのだろうか。充分ありうることだ。百戦錬磨の海賊船弁天丸の中でも「血塗れドクター」と呼ばれ一目置かれていることくらい、私も承知している。なんの目論見もなくただ好意だけでおいしい話を持ってくる、などと思う方がどうかしていた。

 いや待てよ。もしかして、私の方が茉莉香に会いたかったとか……。

 ぶんぶんと頭を振って阿呆な考えを振り払う。バカバカしい。そんなこと、たとえ宇宙が滅んだってありえないわ。違う違う違う、絶対違うっ。茉莉香は海賊船弁天丸の船長(見習い)。そして私は海賊船バルバルーサの次期船長候補。それだけだ。他に何もない。
 ホントに何もないんだからね。絶対っ! 何にもっ!

「何よそのだらけた顔は。仮にも海賊船の船長になると決めたのなら、もっとしっかりなさいっ!」
「うわあ、チアキちゃん、ひょっとして怒ってる?」
「怒ってないっ!」

 ホントなんだから。

 バカ──。

 (おしまい)
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注:管理人の名称は「あっとあとみっく」が正式ですが、ごくまれに「藍」と名乗ることもあります。

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