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『秋月律子の挑戦・ステージ3』(アイマスSS)

アイドルマスターのSSを公開します。
秋月律子の挑戦・ステージ3』という、律子視点でりつみき・みきりつな内容です。さらに今回はアイマス妄想SSとしてアップしてた千早x春香SS『親友以上、恋人未満な彼女』の内容も一部リンクしてます。どーしてお話を無駄に複雑にするのが好きなんだ私(笑)。

それにしても前回『ステージ2』から随分と間が開いてしまって、ほんとすいません。

ホントはあと3話くらいかけてじっくり書きたかったのですが、いろんな事情でそういうわけにも行かなくなってしまいました。そんなわけでこの『秋月律子の挑戦』シリーズは今回でひとまず終了です。

今回のあらすじは6月23日、つまり律子の誕生日の夜、ホテルの一室でくつろいでいる律子の元に、美希がたずねてきて……という感じです。

長さは約9KBですが、ちょっと駆け足なので読みにくくなっているかも。昨日ツイッターで仮公開したSSにさらに大幅に加筆したため、それの2倍くらいの分量になってます。

それでは、お楽しみくださいませっ!
『ステージ2』より続き)



 『秋月律子の挑戦・ステージ3』



 誕生日なんて関係ないって思ってた。

    ◇  ◆  ◇

「くあーっ、今日も疲れたなー」

 ロケ先のホテルの一室で独り言を呟きながら、そろそろベッドに潜り込もうかな考えていた時の事である。おもむろにドアがコン、コンとノックされた。妙に間延びしたテンポが気になり、スケジュール帳から目を上げて意識を集中させる。すると少し遅れて、ドアの向こうから聞き慣れた声が響いてきた。

『ミキなの~。律子さん、まだ起きてる?』
「起きてるけど。こんな時間にどうしたのよ、いったい」
『できればドアを開けてほしいの。なんか……そろそろ限界かも……』
「なんですって!」

 あわててロックを外してドアを開けると、額に汗を浮かべた同じ事務所のアイドル、星井美希が疲れ果てた様子で突っ立っていた。かなりラフな服装にグラサンを頭に載せ、両手には今にも破裂しそうなコンビニ袋を一つずつぶら下げている。

「とにかくこれがもう重くって」
「ちょっと、ナニこれ? ああほら、早く部屋に入って」

 袋の一つを受け取るとずっしりと重い。とにかく美希を部屋に招き入れ、椅子に座らせる。

「さすがに疲れたの~。お腹空いた~」
「いったいこんな時間まで何してたのよ。だいたいこの荷物は何? それにお腹空いたって……」

 そんな私の疑問を完璧にスルーし、美希は満面の笑顔を私に向けた。

「律子さん、お誕生日おめでとうなの~♪」
「……はあ?」
「だって今日は6月23日でしょ? 律子さんの誕生日だよ。もしかして忘れてた?」
「アンタじゃあるまいし、そのくらいちゃーんと覚えてるわよ」

 きっと私はあいまいな微苦笑を浮かべていた事だろう。自分の誕生日なんて、本当にどうでもいい、ただの個人的な記念日のひとつにすぎない。明日以降のスケジュールをどうこなしていくか、美希をさらなる高みに導くにはどうするのがもっとも効率的か。それが目下の最大の関心事なのだ。

 もちろん世の中には自分や他人の誕生日でお祝いしたり、バカ騒ぎしたりする風習があることくらいは知っていた。無理やり引っ張り出された事だって何度もある。だが遥かな過去に終わってしまったイベントをいちいち祝う神経がどうしても理解できない。きっとみんなが集まる口実が必要で、誕生パーティもそのひとつなのだろうと醒めた目で眺めていた。

「でも美希こそ、よく私の誕生日なんて覚えてたわね」
「あたりまえでしょ~。他の事ならともかく、ハニーの誕生日を忘れるなんて絶対ありえないモン」
「あ……ありがと。でもハニーとか言うな。恥ずかしい」
「ぶーっ」

 不服そうな美希の顔を、私は複雑な想いで見つめる。

 誕生日なんて関係ないって思ってた。だけど美希にとってはとてつもなく大切な記念日だったのだ。背中にうっすらと冷や汗が浮かぶのを感じる。そう、いつの間にやら私と美希は、そんな関係に陥っていたのだった。

 最初の頃こそ、せっかく才能を持ちながら一向に努力しようとしない彼女に苛立ち、何度となく雷を落としていた。しかし同じ事務所の音無小鳥さんにアドバイスされてから、私の彼女を見る目は少しずつ変わり始めていった。

 大体この年頃の娘にとって、身の回りは誘惑に満ち溢れているものだ。メンタル面だって揺れ動かないはずがない。自信満々に見えていても、ふと垣間見せる不安げな表情が、何よりもそれを雄弁に物語っていた。

 注意深く観察していくうちに気付いた私は、そのたびに懸命にフォローを重ねた。それが功を奏したのだろうか。次第に彼女も私にだけは本音を漏らすようになり、いつしか私が事実上の専属プロデューサーの立場を占めるようになっていた。

 ちょうどいい機会だったのかもしれない。アイドル、事務員、そしてプロデューサー。それら全てを兼ねるなんて、どだい無理な話だったのだ。事務所を立ち上げた頃とは事情が違う。このままの状態では、いずれどれもこれも中途半端な仕事しかできなくなる。そんなのは私のプライドが許さなかった。

 幸いなことに、事務の方は小鳥さんが快諾してくれた。

 ──まあ半分は私が背中を押したようなもんだしね

などと笑いながら。あの人は本当に大人だと心底感動したものだ。その一方で、アイドルにまるで未練がなかったかと言えば、正直微妙な所ではある。今まで応援してくれていたファンの方々にも申し訳なかったし。

 でもそれ以上に、美希をトップアイドルに育て上げる仕事に、私は心底魅力を感じてしまったのだ。その気持ちを隠し通してアイドルを続けるのは、自分だけでなくファンの方々への背信、いや冒涜ではないだろうか。社長はいちおう休業という形にしてくれたらしいけど、今のところ自分から復帰を申し入れる予定はない。

 いや、何より決定的な転機は、あのライブでの出来事だったのだろう。

 台風で何人かのメンバーの到着が遅れ、混乱のさなかで美希の曲が連続するプログラムになっていた事を、私はすっかり見落としていた。どう対応するか頭を抱えていたところへ、いつになく真剣な表情で彼女が言い放ったのだ。

 ──ミキ、やってみても、いいかな

 当然、その場の全員が色をなして反対した。どちらの曲も激しいダンスを要求するものだったからだ。しかもフルコーラスとなれば、トータルで10分近く舞台で踊り歌い続けることになる。常人なら到底不可能なケースだった。そう、常人なら。

 ──みんなでフォローするから、思い切って全力を出し切って来なさい

 だが美希ならば。稀にみる身体能力と才能を持つこの娘なら、きっとやってくれる。私はオーディションの時に垣間見た可能性に全てを賭けた。そして彼女はみごとにその期待に答えてくれた。

 やがて舞台袖に戻ってきた所で崩れ落ちそうになった美希を、とっさに私は抱きとめた。すると。

 ──ねえ、ミキも、キラキラしてた?

 息も絶え絶えだというのに、そう問いかけてくる。もちろん、答えはただひとつしかない。

 ──ええ、キラキラしてた

 以来、美希は執拗に私を求めるようになり、それは精神的なものから次第に肉体的なスキンシップへと及び始めた。手を握る。髪を撫でる。肩を抱く。お互い抱擁する。眠れぬ夜に同じベッドで添い寝するようになり、やがて──。

 アイドルとプロデューサー。しかも同じ女性同士。その上、まだ彼女は中学生である。万が一この事実が発覚したら、私達が社会的破滅に追い込まれるのは確実だ。

 これが自分の事だけなら自業自得と諦めもつく。しかし美希を巻き添えにすることは決して許されない。言うまでもなく美希はまだ未成年であり、本来法律的には庇護されるべき立場である。しかしトップアイドルのスキャンダルという特ダネの前には、少年法などティッシュペーパーほどの役にも立たないだろう。

 もしそんな事態に陥ったら、私はとてつもない罪悪感に押し潰されてしまうに違いない。星井美希という稀代のアイドルを台無しにしたという、一生かけても償いきれない罪の重さとは、果してどれ程のものなのか。想像するのも恐ろしい。

「せめてケーキでもと思ったんだけど、もうこの辺りのお店はみんな閉まってて。仕方がないから近所のコンビニでゲットしてきたの~」
「ゲットしてきたって、いったい何をよ?」
「じゃ~ん。コレなの~っ!」

 他人の気も知らず、得意満面の様子で美希がコンビニ袋から取り出したもの。それは片手に収まる程度の、ビニールできっちりと包装された三角形の物体だった。

「お……にぎり?」
「そ。こっちが紀伊の梅でしょ、でもってこっちが北海道のシャケ、それからこれがカルビ焼きで──」
「要するにアンタ、自分の食べたいモノ買ってきただけでしょ」
「──あれ、バレた?」

 私のツッコミに対し、ペロリと赤い舌を出す。そこには一点の反省の色も見られない。まったく夜中に突然押しかけてきたと思えば……。相変わらずこの娘の行動は予測不能だわ。

 予測不能といえば、アレもそうよね。

 ──あの、お願いしたい事があるんですが

 春香と千早のふたりから別々に、オフの日をなるべく合わせてもらえないかと相談を受けたのも、ある意味予測不能な事態だった。千早の弟の件や、春香が自分を見失いかけてた件で、彼女たちの絆は想像以上に強いものになっていたらしい。

 ──私も律子と美希のこと、応援してますから

 最後の千早の見透したような一言には肝が冷えた。もちろん彼女に他意はなかったのだろう。むしろ好意的、一種の同志的連帯感の表明だったに違いない。だが私にとって重大な意味を持っていた。要するに私達の事がバレかけているのだ。少なくとも事務所の一部で。

 こんな関係は一刻も早く解消すべき。冷静に考えればそれが正しい事は誰にでもわかることだ。私がそう告げれば済む。きっと美希は泣くだろう。恨まれるかもしれない。だけどそれが彼女のためになるのなら、本当に彼女の事を大切に思っているのなら、自分が身を引くべきだと内なる理性が喚き立てていた。

 何度それを実行しようと決意した事か。しかし彼女の小悪魔のような笑顔を一目見ただけで、そんな考えはどこかに吹き飛んでしまう。つまり美希だけではなく、私にとっても彼女の存在しない人生など、とても考えられなくなっていたのだった。

「まったく、アンタって娘は。呆れかえってモノも言えないわね……」
「まあそれはサテオキ。改めてお誕生日のお祝いするの~」
「ちょ、美希っ!」
「大好きなおにぎりさんより、もっとも~っと大好きな律子さんから食べちゃうよ?」

 ほんの少し椅子で休んだだけで、もう元気を取り戻したらしい。ベッドに腰掛けていた私に抱き付いてきた。その勢いに負け、ごろごろと私達はベッドの上で二転三転する。

「今夜はトクベツな日だから、一晩中寝かさないって決めたの」
「まさかアンタ、徹夜開けで明日のロケに突入するつもりじゃないでしょうね」
「当然だよ。だって今日は律子さんがミキと出会うために、この世にやってきた大切な日だんだから」

 こうなっては何を言っても無駄だ。世界中の美と幸せを一身に背負ったような美希の笑顔を脳裏に焼きつけながら、私は観念してそっと目を閉じる。だが彼女の熱気と不思議な香りを感じながらも、その頭の片隅では嫌になるほど冷静なもう一人の自分が、秘かに新たな決意を固めていた。



 誕生日なんて関係ないって思ってた。

 でも今年は違う。美希がいる。美希が祝ってくれる。

 星井美希。大切な人。可愛い娘。私の事を慕ってくれる少女。

 貴女の未来は前途洋々なの。日本どころか、世界だって夢じゃないんだから。

 そうよ。バカどもの餌食になんかさせるもんですか。絶対に守りぬいてみせるわ。

 この私、秋月律子の全てを賭けて──。

 (おしまい)
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おもに百合(GL・ガールズラブ)な小説と周辺情報を公開しています。最近はコミPo!でオリジナル百合4コマも。現在は「けいおん!」、「魔法少女まどか☆マギカ」とオリジナル。カプ傾向は澪梓、憂梓、恵和あたり。あと、ほむほむは百合。
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注:管理人の名称は「あっとあとみっく」が正式ですが、ごくまれに「藍」と名乗ることもあります。

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