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『夏休み、梓、私』(けいおん百合妄想SS)

夏コミも無事終了したようで、参加された方もそうでない方も、残暑お見舞い申し上げます。

それでは、ひさしぶりのけいおんのSSを公開します。
『夏休み、梓、私』というお題。澪視点で澪梓な内容です。

ツイッターのあるフォロアーさんに「澪梓描いて~」とおねだりしたら、それはもう萌え萌えなイラストが4枚も上がってきてしまい、これはもうSS書くしかないと勢いでw

というわけで、とても短いで上に、内容は意味なしオチなし。ただひたすら二人が夏休み部室でいちゃいちゃしてるだけです。

それでは、お楽しみくださいませっ!


 『夏休み、梓、私』



 ──今年の夏は、酷く暑い。

 部室のドアを開けると、中からひんやりとした心地いい空気が流れ出してきた。誰かがもうエアコンを動かしているらしい。てっきり私が一番乗りだと思ったのに。なるべく冷気を逃がさないように、素早く室内に身体を滑り込ませてドアを閉める。

 いったい誰がと見回してみたが、強烈な真夏の陽光に慣れてしまった目に、部室は少しばかり暗すぎた。それでも窓越しに人影がひとつ、ぽつんと浮かんでいるのに気づく。あの長いツインテールは間違いなく──。

「澪、先輩。先輩っっ!」
「あ……梓!?」

 だが、いち早く私の姿を認めたらしい梓が、まるで体当たりでもするような勢いで飛びついてきた。いったいどういうことだ。スキンシップの苦手な彼女が自分から他人に、それもよりによって私に抱き着いてくるなんて。

「どうした。何かあったのか、梓」
「いえ……そういう訳じゃ、ないんですけど……」

 一瞬だけ逡巡を見せた梓だったが、再びおずおずと言葉を紡ぎ始める。

「ただ、その……しばらくこのままで、いさせてください」
「別にかまわないよ。梓の気が済むまで」
「……ありがとうございます」

 かすれた声が、わずかに震えていることにようやく気づく。いや、それだけじゃない。私の腰に巻きつけられた両腕も、か細い身体も、黒くつややかな髪の毛までが、まるで彼女の動揺する心の内を代弁するかのようにざわめいていた。

 静寂に支配された部室。遠くからしゃわしゃわと聞こえてくるセミたちの合唱さえ、酷く耳障りだ。かすかに漂う梓の甘い香りに、しだいに私の理性が侵食されていきそう。

 ──今年の夏は、酷く暑い。

 きっとセミの声がそう思わせてるんだ。梓がすがり付いてるためなんかじゃない。そうこじつけた。でないと、頭がどうにかなってしまう。



「どう、少しは落ち着いた?」
「えっと、だいぶ……」

 頃合いを見計らって声をかけてみたが、梓の動揺はまだ収まっていないらしい。何が彼女をここまで追い詰めたのか、無性に知りたかった。

「いったいどうしたんだ。何か私にできることはある? できる限りのことはするから、な」
「……あの……それじゃ、ひとつだけ、お願いがあります」
「なんだ?」
「卒業しても、私のこと……絶対忘れないでくださいっ!」
「……っ」

 思わず息を呑む。ああ、そうか。そういうことか。

 軽音部のメンバーは梓を除けば全員が三年生である。もし来年の春、私たちが卒業してしまえば、この娘はひとり取り残されてしまうのだ。この部室に。高校に。

「……ちょっと家を早く出すぎて、部室で他の先輩たちが来るのを待ってたら、こうしていられるのもあと少しなんだって……。そしたら、そしたら……」
「梓……」

 左手で梓の顔を軽く撫で、それから無理やり顔を上げさせる。いつもの強気な光がすっかり影を潜めた目の端から、今にも溢れ落ちそうな滴をそっと指先でぬぐいながら、私は決然と口を開いた。

「絶対忘れない。いや忘れるわけないだろ。こんなにも頼りになる、世界で一番可愛らしい後輩のことをっ!」
「へ……っ」

 呆然とした梓の表情を見て、ちょっとカッコつけすぎかなと恥ずかしくなる。だが同時に彼女の瞳へ、次第にきらめく様な生気が蘇ってくるのが感じられた。

「あの、今なんて……」
「ええと、いやだから、その……とにかく絶対忘れない。絶対だ」
「……はいっ」

 ようやく笑顔の浮かんだ梓の両の瞳が、まるで黒い水晶のような透徹な光を湛えて、まっすぐに私を見つめていた。もちろん私も彼女を見つめ返す。この世の誰よりも大切な、たとえ自分の命に代えても惜しくない、彼女のことを。

 それにしても梓のまばゆい笑顔を見ていると、私の胸の内まで華やいでくる。もしこのまま彼女の傍にいられるのなら、たとえ悪魔と契約を交わすことだってできるだろう。ふと、そんなバカげた考えに取りつかれそうになってしまう。

 きっとこれは、真夏の暑さのせい。
 きっとこれは、梓の魅力のせい。
 きっとこれは、私の叶わぬ夢。

 このまま永遠に夏休みが続いてくれればいいのに。
 梓と私の、ふたりだけの夏休みが。

 ──今年の夏は、酷く暑い。

 ──もしかするとこのまま、ひとつに溶け合ってしまいそうなくらいに。

 (おしまい)
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Author:あっとあとみっく
おもに百合(GL・ガールズラブ)な小説と周辺情報を公開しています。最近はコミPo!でオリジナル百合4コマも。現在は「けいおん!」、「魔法少女まどか☆マギカ」とオリジナル。カプ傾向は澪梓、憂梓、恵和あたり。あと、ほむほむは百合。
このブログはリンクフリーですが、相互リンクはお受けしておりません。ご了承くださいませ。
注:管理人の名称は「あっとあとみっく」が正式ですが、ごくまれに「藍」と名乗ることもあります。

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