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『お膝抱っこ』(けいおん百合妄想SS)

けいおんのSSを公開します。
『お膝抱っこ』というお題です。

澪視点で澪梓な内容です。イチャラブです。ただそれだけ。長さは8KB程度なので、すぐ読めると思います。

いつものように、twitterのとあるフォロアーさんのイラストからヒントをいただきました。最近そういうのばっかりですね、すいません。

それでは、お楽しみくださいませっ!





 『お膝抱っこ』



「よし、今の演奏は完璧だ」
「本当ですかっ、澪先輩っ!」

 弾けるような笑顔を浮かべ、梓は喜びをあらわにする。思わず釣り込まれるように笑いながら、私は安心させるように大きくうなずいた。

「これだけ弾きこなせれば、どこに出て行っても恥ずかしくないぞ。保障する」
「ありがとうございます。頑張ったかいがありましたっ」

 ますます梓の笑みが大きくなった。その姿を見ていると、私の心までがポカポカと温かくなってくる。

 一週間ほど前だったろうか。お昼休みに特訓に付き合ってほしいと梓に懇願され、ずいぶんと古くさいスコアを見せられた。80年代に活躍したとあるロックバンドのものを、古本屋で見つけたのだという。その譜面を読みふけり、図書館で借りたCDを聴いてからというもの、どうしてもその曲が頭を離れないのだと彼女は熱っぽく訴えた。

 しかしそのスコアの内容ときたら、実にデタラメな難しさだった。ムギはまだしも、唯や律には到達不可能な次元に違いない。そもそも軽音部随一のギターテクニックを誇る梓ですら、ようやく弾くのがやっとという難曲なのだから。

 だが梓はやりとげた。少なくともリズムギターのパートは完璧と言っていい仕上がり。この一週間によって彼女と私は、新たなステージに達したという確かな手ごたえを感じさせる。本当にこの娘の努力には頭が下がる思いだ。先輩として、私も負けちゃいられない。

「あのそれで……澪先輩?」
「ん、何だ、梓」
「ええとですね……、あの……」

 先ほどまでの歓喜が急に影を潜め、梓がなにやら恥ずかしそうにモジモジしはじめる。もっとも二人で練習したいと言い出したことから、梓の意図には薄々気づいてたけど、そこは知らない振りをするのが先輩の思いやりというものだろう。

「いいよ。なんでも言ってみろ。私にできる事なら協力するから」
「あの……それじゃ、言います。澪先輩にお膝抱っこしてほしい……です……」

 消えそうな語尾が梓の口から洩れると、見る見るうちに彼女の顔が朱に染まっていく。いや待て。なんだって?

「さすがに私も疲れたのかな。ちょっと変わったお願いをされたような気がするんだが」
「気のせいとかじゃないですから。その……変わったお願いだっていうのは確かですけど、ご褒美みたいなものだと思って……」
「それが……お膝抱っこ?」
「……やっぱヘンですよね、そんなの……」

 今度は梓の顔に寂しそうな表情が浮かぶ。明らかに失敗したという感じ。だめだだめだ。梓にこんな顔させちゃいけない。

「べ……別にかまわないぞ、お膝抱っこくらい」
「ほ……本当に……?」
「ああ、もちろん。でも本当にそんなのがご褒美なのか?」
「当然ですっ!」

 次の瞬間、あ、と口に手を当てる梓の仕草が、まるで小さな子どもみたいで。多分そういうことなんだろうと自分を納得させることにした。

    ◇  ◆  ◇

 フェンダー・ムスタングとフェンダー・ジャズベースを仲良く並べると、私は部室の定位置から椅子だけを引き出して腰掛け、改めて梓に顔を向けた。ひどく緊張した様子の彼女の肌は、心なしか白を通り越して青ざめてすら見える。

「じゃあおいで、梓」
「は……はい」

 できるだけ優しい声になるように心がける。こちらまで緊張していたら、梓がリラックスできない。せっかくのご褒美が拷問になっては可哀想だ。まあそれにお膝抱っこという辺りがいかにも彼女っぽくてカワイらしいよな──。

「それでは、失礼します」

 ──あれ?

 それは私の想像していた『お膝抱っこ』とは明らかに違っていた。いや確かに膝の上に座っているのだから『お膝抱っこ』なのだけど。自分が思い浮かべていたのは小さい子が親と同じ方向に座るアレのことだった。

 だけど梓の考えてた『お膝抱っこ』はまるで別物だった。なんと自転車の後ろ乗るような横座り。つまりまるで私が彼女をお姫さま抱っこしてるような態勢なのだ。そんな感じで私の膝にちょこんと座った彼女が、居心地の悪そうな顔を私に向ける。

「あの……重くないですか?」
「全然そんなことない。平気だよ」

 ウソもいいところだった。いや別に梓が重いというわけじゃない。その、彼女の顔が、なんというか顔が、そうとにかく顔が、メチャクチャ近いんですけど。

 いや違う。それだけじゃない。

 自分の太もも越しに、想像以上にか細く、それでいてちゃんと女の子してるふわふわな身体が感じられる。ひょっとして私よりも長いかも知れない艶やかな黒髪、透き通った水晶のような瞳、切れ長のまつげ、小さな鼻すじ、桜色の柔らかそうな唇に目を奪われてしまう。さらに彼女が身体を身じろがせるたびに不可思議な汗の香りが私目がけて殺到する。それら全てに圧倒され、ほぼ瞬時に理性の大半を奪われてしまった。

 ──ごくりっ。

 一瞬、その音が自分の喉から発せられたという事が信じられなかった。かすかな目まいを覚える。すると梓の喉が「ひっ」と小さく鳴り、私の両手をひしっ、と掴む。小動物チックな動きにドキリと胸が高鳴る。やばいカワイイ。いやカワイすぎる。

「だ、大丈夫か、梓」
「はい、平気です……多分」

 懸命に自分の内側の獣を抑え込む。苦労して梓に微笑みかける。でないと……このまま、どうにかなってしまいそうだ。彼女は私の事を100%信頼して身体を預けてくれているというのに。それを裏切るようなマネだけは絶対にできない。

「ところで、どうしてお膝抱っこなんだ?」

 取り繕うような質問に、梓が気まずそうにそっぽを向いた。彼女の反応に、わずかに理性が劣情を抑え込む。そうだ、沈黙しちゃダメだ。とにかく会話を続けないと。

「何か理由でもあったのか。こんなご褒美をお願いするような、理由が」
「……エリザベスに、負けたくなかったんです」
「え……?」

 ──がつん。

 なんだ今の。胸の奥底に凄まじいクリティカルヒットを喰らった感じ。

「いったい何の事だ、エリザベスって」
「誤魔化さないでください。ちゃんと知ってますから。澪先輩がフェンダー・ジャズベースに『エリザベス』って名前つけてるの」
「いやいやいやいや、つけてないから、そんな名前」

 あわてて否定する。何をどう間違ってそういう話が──あ。

「律の奴がそう言ったんだな」
「……はい」

 こくりと梓が小さくうなずいた。少しだけ納得がいく。おそらく律の奴が梓に何か吹き込んだんだろう。それにしても『エリザベス』か。そういえば──。

 ……そうそう、部室に楽器を置いて帰ろうという話になった時か。唯が私のベースに勝手に『エリザベス』とかいう名前を付けて、その翌日つい私が呼びかけたのをみんなに聞かれたんだっけ。

 ひょっとして、これはヤキモチ、なのか。

 そう気づいた瞬間、自分でも思いがけない言葉が飛び出していた。

「そういう梓だって、ムスタングに『むったん』って名前つけてるんじゃないのか」
「そ、そんなことないですっ」
「確かムギがそんな事いってたような……」
「きっと何かの間違いか、勘違いです。そうに決まってます」
「そういうことにしておくか」
「むう……………………」

 ぷくりと頬を膨らませて不満たらたらという梓の雰囲気に、不覚にも笑いの発作が込み上げてきた。ダメだコイツ、カワイイ。めっちゃくちゃカワイイよ。

「もうっ、なんで笑うんですかっ」
「いやごめん。なんか、梓はホントにカワイイなあって思ったから、つい」

 一瞬だけぎょっとし、すぐに照れたような笑みに変わる。

「そういえば、律先輩もドラムに名前とかつけてるんですかね」
「それはないんじゃないかな。あいつはそういうキャラじゃないし」

 今度は少し拗ねたような顔で私を見つめる。まるで百面相だ。本当に見てて飽きない。本当に、可愛くて可愛くてたまらない。

「じゃあムギ先輩はどうでしょうか?」
「どうだろう。今度聞いてみるか」
「そうですね」

 クス。お互いに小さく笑い合い、おでこをこつんとぶつける。バカげた騒ぎもようやく一段落したようだ。そう安心した途端、またもや梓の存在を強く感じるようになる。いやむしろ、さっきよりもっと強く。

「ところで梓、悪いけどそろそろ降りてくれないか」
「やっぱりエリザベスの方が……?」
「いや、そうじゃなくて」

 その話題をまだ引っ張るのか。これは少々の事では納得してもらえそうにない。覚悟を決める。小さく溜息をつき、思い切って本音を吐く。

「なんか、このままだと……キスとかしちゃいそうだし」
「いいですよ、澪先輩なら」
「へ……っ?」

 まさか即答されるとは思わなかった。しかも、いいですよ、だって?

「お前、自分が何を言ってるのかわかってるのか」

 だが梓はその問いに答える代りに、つぶらな瞳をそっと閉じた。ヤバい、こいつ、本気だ。完全に覚悟を決めてる。掴まれた両手に再び力が込められたのがわかった。早く、と催促するかのように。

 ど、うしよう。
 どうしたらいいんだ。

 梓に対して。
 私は──。

 (おしまい)
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Author:あっとあとみっく
おもに百合(GL・ガールズラブ)な小説と周辺情報を公開しています。最近はコミPo!でオリジナル百合4コマも。現在は「けいおん!」、「魔法少女まどか☆マギカ」とオリジナル。カプ傾向は澪梓、憂梓、恵和あたり。あと、ほむほむは百合。
このブログはリンクフリーですが、相互リンクはお受けしておりません。ご了承くださいませ。
注:管理人の名称は「あっとあとみっく」が正式ですが、ごくまれに「藍」と名乗ることもあります。

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