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『私の犯した大罪について』(澪梓妄想SS)

はい、いつものように妄想にふけっております。
本日は一日遅れですが、またもやある絵師様のイラストからインスピもらって書きました。
『私の犯した大罪について』というお題です。
視点でな内容です。
4KBほどなので、さらりと読めるでしょう。

それでは、お楽しみください!





 『私の犯した大罪について』



 傲慢、嫉妬、憤怒、怠惰、暴食、色欲、そして──強欲。

    ◇  ◆  ◇

「今日もひとりぼっち……か」

 なんてつぶやきながら、しんと静まり返った音楽準備室でひとり立ち竦んでる。我ながらバカみたいだよね、ホント。もうすっかり慣れっこになってたはずなのに。

 私が2年になってから、少しずつ先輩たちが部室に顔を出す時間が遅くなっていた。4人とも同じクラスだから、きっと自分達のクラスで似たようなコトをしてるんだろう。

 唯先輩がヘンな事を言い出して。
 それに律先輩が乗っかって。
 先輩がバクハツして。
 ムギ先輩が笑ってる。

 そんな光景が目に浮かぶ浮かぶようだ。あの人たちはいつも4人だから。きっと、いつでもどこでも、そんな調子なのだろう。

 だけどそこには私の居場所だけがない。どこにも入る余地がないのだ。異分子の私には。そう思い知らされるたびに、心にぽっかりと空いた風穴が、痛くて痛くてたまらなくなる。

 先輩たちはみんな3年生で、みんな同じクラスで、同じけいおん部の部員で。だけど私は2年生で、当然同じクラスになれるはずもなくて。放課後の部室だけが先輩たちと会える唯一の時間なのに。

 そりゃまあ憂や純と過ごす時間が楽しくないわけじゃない。でもあのふたりでは、残念ながら代わりにはならないのだ。あくまで彼女たちは友達だから。

 そう、先輩の……代わりには。

 あの人の歌声が。
 あの人の奏でるベースが。
 あの人の艶やかな長い黒髪が。

 あの人の音楽への真摯な想いが。
 あの人の細やかな心遣いが。

 あの人の不思議な香りが。
 あの人の長い指先が。

 そのひとつひとつが頭をよぎるだけで。

 苦しくなる。
 泣きたくなる。
 大声を上げたくなる。
 もっともっと求めてしまう。

 寝ても覚めてもあの人の事で頭の中はいっぱい。

 だけどこの想いは伝わらない。
 その事を私は決して言葉にしないから。
 うかつな一言で容易に壊れてしまう関係だから。

 あと一歩が。
 そのもう一歩が。
 月よりも遠く感じられる。

 自分に踏み出す勇気がないから。
 こうして今日も私はしんと静まり返った音楽準備室でひとり立ち竦んでる。

 ──逢いたいです、先輩。


 その時だった。背後から誰かに抱きしめられたのは。ちょっとだけビックリして、ちょっとだけガッカリする。そんな気配さえ感じられないのか、今の私は。でもいったい誰が──。


「あ……」

 わかってしまった。
 この香りの主が誰なのか。
 名前を呼ぶアルトボイスで。
 この全てを包み込むような柔らかい感触で。

 恥ずかしくて顔を向けられない。
 きっととても酷い顔をしてるだろうから。

 こんなにもウキウキしてるのに。
 天にも昇るような感じなのに。
 涙がこぼれそうなのに。

 だから私は正面を向いたまま想いを口にする。面と向かってはとても言えない台詞を。

「待ってたんですから」
「ごめんな」

 その短い一言が、乾き切った心に潤いを与えてくれる。
 全てを赦せそうになる。

 この世に生まれたことや。
 この人に出会ってしまったことや。
 この人がいなくて寂しかったことや。
 この人が好きになってしまったことや。

 それら全てを感謝しそうになる。

「遅くなってごめん。待たせてごめん。寂しい思いをさせてごめん」
「もういいです。こうして来てくれたんですから」

 放っておくといつまでも謝りつづけそうだから、そう言って私は先輩を黙らせる。

 そうだよ。
 来てくれたんだから。
 こうして抱きしめてくれるんだから。

 少しくらいなら、いいよね。

 なけなしの勇気を振り絞り、ゆっくりを右手を上げる。でも握りしめるほどの勇気はとてもなくて、軽く曲げた人差し指だけを、そっと先輩の腕に這わせるのが精いっぱいだ。それでも触れた瞬間、背中越しに、ぴくりと先輩が反応するのがわかる。抱きしめる両手の力が一段と強くなり、鶏ガラみたいな私の身体は耐え切れずにきしみ始めた。でも今はその痛みさえ心地いい。

 うかつな一言で容易に壊れてしまう関係だから。
 その事を私は決して言葉にしないから。

 それでもこの想いは伝えたい。

 なんてわがままで、ぜいたくで、よくばりなんだろう。こうして澪先輩を独り占めにしてるだけでも、充分以上に幸せなのに。もっと、もっとと求めてしまう、この私は。

 ──強欲。

 聖書にも書かれているという大罪のひとつ。

 それでも、わかっていても、この想いだけはどうにもならないのだ。

 朝になると日が昇るように。
 春がくると桜が咲くように。
 嵐のあとに陽がさすように。

 今日も私は、強欲という名の大罪を、犯し続けてる──。

 (おしまい)
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おもに百合(GL・ガールズラブ)な小説と周辺情報を公開しています。最近はコミPo!でオリジナル百合4コマも。現在は「けいおん!」、「魔法少女まどか☆マギカ」とオリジナル。カプ傾向は澪梓、憂梓、恵和あたり。あと、ほむほむは百合。
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注:管理人の名称は「あっとあとみっく」が正式ですが、ごくまれに「藍」と名乗ることもあります。

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