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『史上最大のプレゼント』(ガルパンSS)

ガールズ&パンツァー、略してガルパンのSSを公開します。
このブログでガルパンは初めてですね。
『史上最大のプレゼント』というお題です。
秋山優花里視点でみほゆかな内容です。

ようやくというか、今更というか、ようやく書けました、ガルパンのSS。
6月6日が秋山優花里さまの誕生日ということで、
当日実質1時間くらいで書き上げた記念SSをツイッターで公開したのですが、
本SSはそれに加筆修正を行ったものです。

あらすじは、誕生日に優花里の家にやってきたみほが手渡したプレゼントの中身は……?
とまあ誰でも思いつくようなお話ですが(苦笑。なんせ6月6日ですしね。
6KB程度なのでさらっと読めるでしょう。



それでは、お楽しみくださいませっ!


 『史上最大のプレゼント』



 狼。

    ◇  ◆  ◇

 両親といつもより一品多い夕飯を平らげ、さらにバースデーケーキまで食べつくすと、さすがにお腹も膨れて動くのも辛くなる。お風呂は少し待ってもらって、部屋で一息ついていた。

 今年はいろんなことがあった。もともと戦車とか戦史には興味があったけど、まさか自分の通ってるあの大洗女子高校で戦車道の授業が始まるなんて、入学した頃は想像もできなかった。そして実際に授業に参加してみて、いろんな新しい知識を得たり、同好の士と出会うこともできた。だけど何より嬉しかったのは──。

「優花里、お客さんよー!」

 ぼんやりと物思いにふけっていると、母の大声が下の階から響いてくる。こんな時間にと訝りながら階段を下りると、玄関にたったひとりで、所在無さそうに立ちすくんでいる我らが車長、西住みほ殿の愛くるしい姿が目に入った。

 一見どこにでもいそうな女子高生だけど、実はこの西住殿、戦車道の世界では名門として知られる西住流のお嬢様だったりする。もっとも本人はとても控えめな性格で、そんな生まれ素性をひけらかすこともないのだけれど。

 ところがこの西住殿が、いざ車長として戦車に乗り込むと、まるで別人のような統率力と的確な指揮能力を発揮するのだ。素人ばかりの我が大洗女子高戦車道チームが、まがりなりにも全国大会に出場できたのだって、その手腕によるところが大きい。一頭の狼に率いられた千匹の羊は、一頭の羊に率いられた千匹の狼に勝るというが、正にそれを地で行くような快進撃だった。

 それにさっき母に声をかけられるまでの間だって、頭の中は彼女の顔や声や香りで埋め尽くされていたといっても過言ではない。念のために付け加えておくと、私は彼女と同じ戦車、つまりドイツの傑作戦車Ⅳ号D型で装填手を務めていたりする。高貴なるご主人様の足元に控える忠実な下僕というわけだ。

「こ……こんばんはっ」
「どうしたんですか、こんな時間に」

 心なしか西住殿の声が上ずっているような気もする。蛍光灯に照らされた彼女の頬がほんのりと朱に染まっているのがわかった。まさか走ってきたわけでもないだろう。もし急用なら携帯電話にかければ済む筈だし。

「あの……その……」

 戦車に乗っている時の颯爽とした西住殿と、俯き煮え切らない態度でモジモジと身体を動かしている内気な少女、果たしてどちらが本当の彼女なのだろうか。もちろん、どちらのお姿もとても素敵なのだけど。

 などとバカな事を考えながら、しばし西住殿の私服姿に見とれていると、ようやく意を決したらしい彼女が私の目に視線を据えた。

「秋山さん、お誕生日おめでとうっ。こ……これ、プレゼントなんだけどっ!」

 最後は完全に声が裏返っていた。よほど緊張していたのだろうか。いやいや、大事なのはそんな所じゃない。西住殿はなんと言った? お誕生日おめでとう? プレゼント?

「あのこれ、私に、ですか……?」

 小さなピンク色のビニール袋に、可愛らしい三色のリボンでラッピングされた包みを差し出されて、私は軽く混乱していた。まさかこの私が、学校のお友達から、いや尊敬している西住殿から、誕生日のプレゼント、だと? 夢でも見てるんじゃないのか自分。彼女のことが好きすぎて、とうとう壊れたのかと自らの目を疑いたくなる。

「そう、だけど……」

 だが目の前の西住殿の存在感は圧倒的だった。しかも両手がかすかに震えている。このままにしてはおけない。そこまで考えて、ようやく手を伸ばす勇気が出た。

「あ、ありがとうございます。ここで開けてもいいですか?」
「う……うん。全然大したものじゃないん……だけど。でも、もしかしたらと思って」

 すっかり恐縮しきった様子の西住殿が、今にも消え入りそうな声で言い訳めいた台詞を口にする。だけどこんな様子を見せられたら、たとえ中身が大洗名物の干し芋だったとしても、それこそ一生の宝物にしてしまいたくなるじゃないですか。

 もっとも袋はとても軽かったので、その手の妙なものではなさそうだ。リボンを解き、袋の中からずいぶんと薄っぺらい中身を取り出す。その毒々しい装飾に思わず目を吸い寄せられる。

「これ……『史上最大の作戦』のDVDじゃないですかっ。しかもカラーリメイク版のっ!」
「たまたまお店で見かけて、これだったら秋山さんも喜んでくれるかなと思って……」

 そこまで言うと西住殿はまた視線をそらし、またもモジモジとし始める。ああもう、なんてかわいらしいんだろうこの人は。昔のモノクロ版ならまだしも、こんなレアモノがそのあたりのお店で手に入るはずがない。きっとネットとかで探し回ってくれたのだろう。私のために。誕生日のプレゼントとして。

 そう、今日は6月6日。何十年か前にノルマンディー上陸作戦、通称『史上最大の作戦』が実施された日なのである。当然のことながら西住殿はそのことを知っていて、わざわざ選んでくれたのだろう。

「嬉しいです。人生最高の、いえ史上最大のプレゼントですっ!」
「よかった……」

 ほっとしたような笑みが花開いた。たったそれだけのことで、殺風景なうちの理髪店が百花繚乱の花園にでもなったようだ。我ながら自分も相当舞い上がってるなと思う。

「こうやって同じ年頃の娘にプレゼントあげるの、ちょっと憧れてたんだ。でも黒森峰はとてもそういう雰囲気じゃなくて……」

 そうかもしれない。かつて西住殿は若干1年生であの名門、黒森峰女学院の戦車道チームで副隊長を任されていたのだ。きっと練習付けの日々で、普通の女子らしいこともろくにできなかったのだろう。もっともその点では人生=友達いない暦の私も偉そうなことは言えないが。

「それじゃあ私、帰るね。こんな夜遅くに押しかけちゃってごめんなさい」
「あ、あのっ、ちょっと待ってください!」
「へ……?」

 小首を傾げながら西住殿が振り返る。えっと、困った。つい考えなしに呼び止めてしまった。でもこのまま彼女を帰したくない。もう少しだけ、もう少しだけいっしょにいたい。その想いが、私の口から溢れ出す。

「もしよかったら、これからこのDVD、いっしょに見て行きませんか!」

 半分悲鳴のような声に、西住殿はもちろん、自分自身も驚いてしまう。バカなことを言ってしまった。また引かれちゃうかな、これじゃ。

 だけど西住殿は、私たちの車長は、そんな人じゃなかった。

「うーん、秋山さんがそう言うなら、ご一緒させてもらおうかな」

 ほんの少しだけ迷うような表情を浮かべながら、ゆっくりと彼女が語り始める。

「実は私も結構見たかったんだ、その映画。あんまり長いから、最初から最後までじっくり見たことなかったし」

 そう言うと西住殿は小さく微笑む。それはまるでこの世のすべての人々を恋に落としそうな笑顔だった。

    ◇  ◆  ◇

 もし貴女が狼で、私が羊だったとしても。
 とんでもない身分違いだったとしても。
 車長と装填手という関係だとしても。

 果たして貴女に届くでしょうか。
 乗り越えられるでしょうか。

 この、気持ちは──。

 (おしまい)
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注:管理人の名称は「あっとあとみっく」が正式ですが、ごくまれに「藍」と名乗ることもあります。

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