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『艦娘たちのつぶやき 1隻目』(艦これSS)

艦隊これくしょんのSSを公開します。

最近『艦隊これくしょん』通称艦これにはまってしまって、すっかりブログの更新を怠ってしまっていました。申し訳ありません。

艦これというのは、第二次大戦の軍艦を擬人化、というか美少女化して戦わせるゲームです。ゲーム内では艦娘(かんむす)と呼ばれているのですが、最近「瑞鳳」という艦娘をゲットいたしまして。この娘が可愛いのなんのって……ふへへ(落ち着け

(クリックで拡大します)
28.jpg

というわけで、つい脳内妄想が炸裂して久しぶりにSSにしてみました。長さ4KBほどなので、すぐに読めると思います。3人の艦娘たち(瑞鳳、祥鳳、鳳翔)の午後のティータイムのひと時、という感じで。

それでは、お楽しみくださいませっ!





 『艦娘たちのつぶやき 1隻目』



 穏やかで、むしろ退屈なほどの日々を過ごせる幸せ。

    ◇  ◆  ◇

 晩秋を思わせる穏やかな午後。呉鎮守府の片隅にある水交社は人影もまばらで、いかにも英国風の内装にふさわしい静かな佇まいだった。ここの重厚な空気はとても落ち着いていて、私にとってひどく好ましい空間である。

「ですが、本当にいいのでしょうか。こんな日の高いうちから茶を引いていたりして」
「たまのお休みですもの。いいんじゃないでしょうか。瑞鳳さんは真面目ですね」

 柔らかな笑みを浮かべ、優雅にティーカップを手に取りながら、私の迎え側の席に腰を下ろした鳳翔さんは私の疑問を軽くいなした。

「鳳翔さんの言うとおりよ。それに提督だって今日は先輩の誕生会があるとかで、さっさと早退されてしまったんだし。あまり難しく考えることはないって」
「ちょっと、祥鳳姉さままで、そんなことを……」

 4人がけの窓際の席で、隣に陣取った私の姉、祥鳳が妙に刺々しい言葉を吐いている。普段はこんな物言いをする姉さまではないはずなのに、何か気に障ることでもあったのだろうか。今日あったことを首を捻りながら脳裏に浮かべてみるが、一向に思い当るふしはない。

「このアッサムティーは、もしかしたら先日、私達が運んできたものでしょうか」

 わずかに気まずい空気を振り払うように、鳳翔さんが口を開いた。するとさっそく姉さまが愛想を崩す。現金なものだ。

「かもしれませんね。だとしたら、苦労して持ち帰ってきた甲斐があるというものです」
「行きは航空機、帰りは物資の輸送ですからね。まったく便利に使われているというか」

 わずかに苦いものを混じらせながらも、鳳翔さんは笑みを絶やさず答える。つくづく大人だなと思う。世界で初めて最初から空母として建造され、全ての航空母艦の母とまで敬われているのも頷かせる態度だった。空母としては駆け出しも同然な祥鳳姉さまや私とは大違いである。

「ところで、前線基地に航空機を運ぶのも大切な任務には違いありませんが」

 ふと鳳翔さんの視線に、意味ありげなものが混じった。

「若い貴女方は、もっと最前線で活躍してみたいのではありませんか。特に瑞鳳さんは、あちらの世界ではマリアナ沖海戦やフィリピンの海戦で、最期まで機動部隊の一翼を担ったくらいですし」
「へえ、そんなに活躍してたんだ。いいなあ。私なんか開戦半年で珊瑚海でボカチン食らったおかげで『日本海軍で最初に撃沈された空母』なんて言われちゃってるし」
「でも姉さまは、こちらの世界では大活躍だったのでしょう?」
「まあね。こちらの世界では3隻目の空母だったから、最初の頃はずいぶん前線に駆り出されたものよ」

 少しだけ祥鳳姉さまが胸を張る。長い黒髪がさらりと揺れ、紅茶の香りとは明らかに異なる仄かな匂いを感じて、少しだけ動悸を感じた。もっとも姉さまは私の異変に気づいた様子もなく、なおも言葉を続ける。

「とはいえ最近は正規空母がそろってるし、先日の南方作戦でもちとちよや飛鷹、隼鷹は大活躍したらしいけど、こっちには声もかからなかったわ」
「私が着任した頃は、その南方作戦も一区切りついちゃってたけどね」

 私が呉鎮守府に新鋭艦として着任したのは、ついこの間のことである。半年以上前からこちらの世界で活躍していた姉さまや鳳翔さんと比べて、あまりにも経験がなさすぎた。

「それに私は、今の航空機輸送任務については、割と気に入ってるんですよ」
「へえ」

 小首を傾げながら、鳳翔さんが興味深そうな表情を見せる。

「何故、と聞いてみてもいいのかしら」
「なんていうか、身の丈に合ってると思うんですよ。私のような小型空母には」

 それは、あちらの世界にいた頃からずっと考えていたことだった。

「搭載機がたったの30機かそこらの小型空母が主力として投入される。それはつまり、それだけ追い詰められてるってことじゃないですか」

 紅茶をひとすすりしてから、私は先を続ける。

「正規空母や大型改装空母がたくさんいてくれて、私が最前線に引っ張り出される機会がないってことは、裏を返せば戦争がうまくいってる、そういうことだと思うんです。だから後方でみなさんの支援ができるというのは、きっと幸せなことなんですよ」
「そういう考え方もあるかもしれないわね」

 満足そうな笑みを浮かべながら、鳳翔さんは小さく頷いてくれた。

「瑞鳳、貴女って意外とイロイロ考えてるんだ」
「『意外』は余計だよ、姉さまっ」
「ごめんごめん。悪かったよ。貴女はよく考えてる、うん」

 コトリという小さな音が意外なほど室内に大きく響いた。鳳翔さんがティーカップを置いた音だった。

「実は少々心配していたのよ。着任早々つまらない任務をさせられていると不満を感じているんじゃないかって。でもそれは私の杞憂だったみたいね。よかったわ」
「とんでもない。お気遣いいただき、ありがとうございます」

 満足そうに微笑む鳳翔さんに頭を下げてみせる。少しばかり後ろめたいところもあって、ちょっと大げさになってしまったかもしれない。もう一つの理由を私は口にしなかったから。

 同型艦として生まれながら、姉は最初に沈んだ空母として、妹の私は最期に沈んだ空母としてあちらの世界の歴史には記録されているはず。しかも任務の性格上、潜水母艦時代はもちろん、空母に改造された後も、同じ戦場に赴く機会は一度もなく終わってしまった。

 そんな私達がこちらの世界に生まれ変わって、こうして同じ任務を果たしているという皮肉な現実。

 だからこそ、なのだ。

 穏やかで、むしろ退屈なほどの日々を過ごせる幸せ。

 こればっかりは恥ずかしすぎて、たとえ姉さまにだって言えない。

 祥鳳姉さまと毎日いっしょにいられるだけで十分です、だなんて──。

 (おしまい)
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注:管理人の名称は「あっとあとみっく」が正式ですが、ごくまれに「藍」と名乗ることもあります。

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