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『仔猫のようなクラスメイトに』(けいおんSS)

今日公開するのは「けいおん!」のSS(二次創作小説)です。
しかも。需要、あるんでしょうかねー(笑)。

とあずにゃんが、初めて新入生歓迎会に行った時のお話です。
アニメの第8話の後半のあたりです。

『仔猫のようなクラスメイトに』(けいおんSS)

それでは、お楽しみくださいませっ!。



 『仔猫のようなクラスメイトに』



「ええっ、決めちゃったのっ!」
 たとえ覚悟していても、最悪の予想が現実になるとショックだってこと、あるじゃないですか。だからつい私、大声を出してしまったんです。
「うん。ジャズ研究会にすごいカッコいい先輩がいて……」
 そんな風に言ってから、純ちゃんは「ごめんね」と私に頭を下げました。
「そ……そっか。しょうがないよ。どこに入るかは自由なんだし」
 私はちゃんと笑えているでしょうか。あまり自信がありません。
「じゃあ」
 軽く手を振りながら、純ちゃんは立ち去っていきます。それに応えながらも、小さなため息がもれるのを抑えることはできませんでした。

 ──ごめんね、お姉ちゃん。

 その時、何かの気配を感じて、ふと私は顔を上げたんです。

 その視界に飛び込んできたのは、教室の反対側から私のことをじっと見つめている、ひとりの女の子の姿でした。
「わわっ」
 とても驚いたらしく、彼女はあわてて身をひるがえすと、外に出て行こうとします。
「あ、あのおっ!」
 とっさに私は声をかけました。自分でも理由もわからずに。
「……あ」
 彼女はびくっと身体を震わせてその場に立ち止まり、それからゆっくりこちらの方に振り返りました。どこか不安そうな表情を浮かべながら。

 まるでその姿は、見知らぬ人間に対し警戒心をあらわにする仔猫みたいでした。

    ◇  ◆  ◇

「軽音部に興味あるんだけど、ひとりで行くのはなんか心細くて。だからいっしょに来てくれるとすごくありがたいんだけど」
 そう私は頼み込みました。ほとんど初対面と変わらない相手に、かなり無茶なお願いをしてると思います。でも私は必死でした。ほんの少しでも可能性があるのなら、なんとかしたい。お姉ちゃんのために、お姉ちゃんを大切にしてくれる軽音部の人たちのために。
「別に、いいけど……」
 しょうがないなあ、という感じで彼女は承知してくれました。でも、なんとなく私にはわかっていたんです。それが決して本心ではないことを。
 たとえば先日の教室とか。たとえば昨日の帰りの玄関とか。友達と軽音部のことを話題にするたびに、彼女が何か言いたそうな目を向けていたことを、私はだんだんと思い出していたんです。

 教室から新入生歓迎会が行われているはずの講堂へと向かう間、とにかく私は話し続けました。今日の天気とか、自分の星座や血液型とか、これから始まる高校の授業のこととか、とにかくなんでもよかったんです。もし沈黙してしまったら、彼女が逃げ出してしまいそうな気がして。
 一方の彼女は、生真面目な顔で私の話に「へえ」とか「ふうん」とか短い返事を返すだけ。それでも嫌な顔ひとつ見せずについて来てくれるのだから、きっと脈はある。私はそう考えることにしました。

「ごめんね、付き合わせちゃって」
 講堂のドアを開けると、そこから強烈な演奏と拍手、そして歓声が吹き出してきました。どうやらかなり盛り上がってるみたいです。
「うわぁ、けっこういっぱいだぁ」
 私に続いて彼女が入って来ました。あいかわらず生真面目な表情でしたが、今はそれになんとなく緊張した感じが加わっているようです。でも講堂の中の様子を見たその顔に、ほんの少しだけ驚きが浮かんだのを、私は見逃しませんでした。

 やがてお姉ちゃんのちょっぴり脱線気味の部活紹介が終わって、次の演奏が始まります。そういえばちゃんとしたお姉ちゃんの演奏を見るのって、実はこれが初めて。すっかり舞い上がってしまった私は、それにあわせて手拍子をはじめました。それに対して彼女の表情は硬いまま変わりません。
 それでもしばらく彼女の様子をうかがっていると、そのうちに身体が小刻みに震えはじめました。

 ──どうしたんだろう。

 あれ……そういえば、さっきより彼女の背が伸びたような。でもまさか、そんなことあるわけがありません。どこかの段にでも乗っているのでしょうか。そう思った私は彼女の足元に目を向けました。すると、ああ、なんてことでしょう。
 彼女はつま先立ちになっていたんです。今にも倒れてしまいそうになるくらいギリギリまで背伸びしていたんです。それで姿勢が不安定になって身体が震えていたんです。きっとお姉ちゃんたちの演奏を少しでもよく見たいという、まっすぐな想いがあふれていたに違いありません。だから背のあまり高くない彼女が、そこまでして。

 この子が、こんな子が、こんなにもまっすぐで可愛らしい仔猫のような子が、もし軽音部に入ってくれたなら。ううん、絶対に入部してくれるに違いない。それはまるでポカポカとした春の陽射しみたいな、とてもステキな予感に思えたのでした。

 ──これからもよろしくね、ちゃん。

『ユニークな友だちと』へつづく)
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Author:あっとあとみっく
おもに百合(GL・ガールズラブ)な小説と周辺情報を公開しています。最近はコミPo!でオリジナル百合4コマも。現在は「けいおん!」、「魔法少女まどか☆マギカ」とオリジナル。カプ傾向は澪梓、憂梓、恵和あたり。あと、ほむほむは百合。
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注:管理人の名称は「あっとあとみっく」が正式ですが、ごくまれに「藍」と名乗ることもあります。

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