スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『瞳に浮かぶその色は』(けいおんSS)

2010.08.30追記:ニコニコ動画でPVを公開しました。

けいおんのSSを公開します。
『瞳に浮かぶその色は』というお題です。
視点でな内容です。

今回のSSは、ここのけいおんSSのターニングポイントの一つになるお話です。
ようやくこのSSに手をつけることができました。

内容的はですねー

 喜々として合宿の時の話をに話して聞かせる
 しかしの態度に何かを感じ取り……。

という感じです。

それとこりずにプロモーションビデオ動画も作成の上、公開しました。
2分ほどですので、もしよろしければどうぞ。




BGMに使っているのは「けいおん!!」オリジナルサウンドトラックVol.1の
18トラック目に収録されている「Happy rainy day」という曲です。
今回のSSは、これからインスピレーションをいただいて書きました。

時系列的にはアニメ1期10話、夏休み合宿の話のラストから。
また拙著SS『ユニークな友だちと』『最後まで、貴女のそばに』の間にあたります。

それでは、お楽しみくださいませっ!


『森と湖と妖精の王国から』から)



 『瞳に浮かぶその色は』




 誰にも言えないコトがあります。

    ◇  ◆  ◇

 この夏休みの間に、マクダーネルの二階の客席の一角は、すっかり馴染みの場所になってしまいました。もちろん私とちゃんの、です。

「それじゃあ、合宿ではあんまり練習できなかったんだ」

 私がそう言うと、ちゃんはあからさまに不満そうな表情を浮かべました。

「でもないんだけど……もっと特訓するもんだと思ってたのに。海水浴とか、肝試しとか、ほとんど遊んでた」
「ふーん」

 素知らぬ顔を装いながら、心の中で私は許しを請います。ごめんね、ちゃんと。

「もっと練習したかったのに」
「そっかー」

 去年のお姉ちゃんの雰囲気から、なんとなくそうなることはわかってました。でも出発前のちゃんのあのワクワクっぷりを見てると、とてもそんなことは言えなかったんです。

「でもねっ……やっぱり行ってよかった。先輩たちのいろんなことがわかったもん」
「へえ、どんな風に」
「うーん」

 少し考え込むようなしぐさを見せてから、ちゃんは再び口を開きました。

先輩は意外と怖がりだった」

 彼女はそう言うと、さんがフジツボの話をどれほど嫌がったかとか、強がって肝試しに参加したものの、いざとなるとちゃんの手を痛いほど握りしめていたこととか、その情景がまるで目に浮かぶかのようにこと細かに教えてくれたんです。

「ああいう時の先輩には誰かがついていてあげないと」
「あんなカッコイイ人なのに、なんか意外だね」
「ほんとだよね。でもまあ、そこがまたカワイイというかなんというか」

 そんなことをブツブツとつぶやいたりして。でも、そういう梓ちゃんも負けず劣らずカワイイと私は思うのです。もっともこれはお友だちのひいき目というものかも知れません。

「そうなんだー。律さんは?」
「やっぱ大ざっぱだったけど、先輩とはいい感じだった」

 私の問いかけに、どこか引っかかるような感じで、梓ちゃんが応じます。

「何かっていうと遊びたがる律先輩を、先輩がなだめすかして」
「どんな風に?」
「そうだなー。ご飯を作るときとか『後輩が率先して頑張ってるんだから』みたいな感じで」
「なるほど」

 うんうんと私はうなずきます。なんとなく想像できてしまいます。しっかり者で慎重派らしいさんと、わりと大ざっぱだけど誰とでもすぐに仲良くなれる律さんの組み合わせは、私にもいい感じのように思えました。

「それで、私と澪先輩でいっしょにオニギリ作ったりして、」

 あ、えーと。なんだか律さんの話をしていたはずなのに、いつの間にか澪さんの話になってます。

「紬さんはどんな人だった?」

 一区切りついたところで、私は少し話の流れを変えてみることにしました。

「ムギ先輩はね、みんなのことを思いやってて優しいけど、あんがい子どもっぽいところもあって、カワイイ人だったよ。私だけじゃなくて、澪先輩もきっとそう思ってたよ。そうそう、澪先輩って、」

 それから梓ちゃんは澪さんのスタイルのよさや、それを維持する苦労について延々と語ってくれました。さらには思わぬ武勇伝まで。

「──そうやって、先生のセクハラ攻撃から私のこと、守ってくれたんだー」

 うっとりとした感じで、梓ちゃんが柔らかな笑顔を浮かべます。よほどうれしかったのか。さもなければカッコよかったのでしょう。

 ……あ、あれ? 気がつくと、またもや澪さんの話になってます。

「そうなんだ。で、お姉ちゃんは?」

 気を取り直して。いよいよ今日の本題。

「唯先輩は……ちゃんと練習してた!」
「でしょー」

 そうなんです。お姉ちゃんはやる時はやるんですっ。

「最初の夜に、唯先輩が一人で練習してるのに気が付いて。私もちょっとだけ付き合って、そしたら澪先輩も起きてきて、結局ほとんど徹夜で練習してたんだ」
「頑張ったんだねー」

 さすがはお姉ちゃんです。ああ、この喜びをいったいどう表現したらいいでしょうかっ。

「そしたらやっぱ寝不足だったらしくって。次の日の夜中に、澪先輩ったら寝ぼけて私の布団に潜り込んできて、それで、」

 う……うーん。ちょっと困りました。またしても澪さんの話に戻ってます。今日の梓ちゃんは誰の話をしてても、いつの間にか澪さんメインに戻ってしまうようですね。

 覚悟を決めました。

 仕方がありません。どうやら合宿でのお姉ちゃんのコトを聞き出すためには、先に梓ちゃんの澪さんトークにトコトン付き合うしかないらしいです。でも、それにしても。

「梓ちゃんって、本当に澪さんのことが大好きなんだねー」
「そ、それは……そう、だね……」

 残り少ないドリンクを梓ちゃんは一息で飲み干しながら、恥ずかしそうに頬を朱に染め、私からついっと視線をそらしてしまいます。そういえば合宿に行く前に梓ちゃんは、確かこんなことを言っていました。

 ──私、澪先輩みたいなお姉ちゃんだったら欲しいなぁ

 私がそれを思い出し、つい笑い出しそうになった時でした。

 あ、れ……?

 ふと、梓ちゃんの瞳に今までにない色が、ほんのわずかだけ浮かんだような気がしたんです。ですが、なんだろうと思った時には、それはもう消えてしまっていました。そういうわけで、残念ながら正体を確かめることはできなかったのです。

 でもあれは、まさか。いや、そんなはずは──。

    ◇  ◆  ◇

 ようやく日が西に傾き始めたころ、駅近くの本屋さんに寄っていくという梓ちゃんと別れました。そろそろ私もお姉ちゃんのために、夕飯の準備をしなければならなかったですし。

 いろいろ買い物をすませてから時計を確かめると、思ったより時間が立っていませんでした。ひょっとしたら梓ちゃんは、まだ本屋さんにいるかもしれない。なんてことをちょっとだけ期待しながら、少し回り道をして本屋さんの自動ドアをくぐりました。

 果たして……やった。梓ちゃん発見っ。

「あず……」

 でも、かけようとした声は、のどの奥でつっかえてしまいました。彼女の様子があまりにもヘンだったからです。

 まるで地中海の海底に沈むギリシャ神話の女神像のように、梓ちゃんは店の真ん中あたりの通路に呆然と突っ立っていました。

 彼女の視線は、店の奥へと向けられています。じっと見つめるその先には一人の女性の姿がありました。落ち着いた雰囲気。抜群のスタイル。漆黒のロングヘア。とてもひとつ違いとは思えないほどの大人の雰囲気を身にまとった彼女。

 それは間違いなく澪さんの後ろ姿でした。

 どうやら澪さんは、何かの本の内容を確認しているようでした。それに対して近寄ることも声をかけることもできず。梓ちゃんはただじっとその場に立ち尽くしたまま、ひたすら澪さんの背中を見つめ続けていたのでした。

 そこにゆったりと流れているのは、澪さんと梓ちゃんだけの時間。



 それは。

 あまりにも脆くて。
 あまりにも切なくて。
 あまりにもはかなくて。

 ほんのちょっとしたことで今にも壊れてしまいそうで、手を差し伸べることはもちろん、声をかけるどころか、見つめることさえも許されないような気がしたのです。だから私はそっと本屋さんを出ました。二人に気づかれないように。何かから逃げるように。



 夕日を半身に浴び、一人街を歩きながら、私は先ほどの光景を思い浮かべました。すっかり途方に暮れながら。

 わかってしまったんです、梓ちゃんの瞳に宿る色の意味が。たとえば友だちに対するものだとか、先輩に対するものだとか、姉に対するものだとか。そのどれとも、梓ちゃんの目の色は違っていました。

 そうなんです。

 澪さんの背中を見つめる梓ちゃんの目に浮かんでいたもの。それは女の子であれば絶対に見間違えるはずのない、淡く切ない思慕の色だったんです。それはもう胸が痛くなるほどに美しいものでした。

 ですが……いったいどうしたらいいんでしょう。

 今さら確認するまでもないことですが、梓ちゃんは女の子で、もちろん澪さんも女性です。だからこそ私の中にいる常識という名の怪物が、全てを否定しようとするのです。ありえないから、無理だから、と。

 でも私の感情は、それに激しく抵抗していました。彼女の瞳に宿る色を。とてもこの世のものとは思えないほどにキラキラと美しく輝いていたモノを。ただ自分の常識から見てヘンだからというだけの理由で切って捨てるなんて。それこそありえない。

 何が正しいのでしょう。何が間違っているのでしょう。どうしてこうなってしまったんでしょう。

 うすうす感じてはいました。梓ちゃんの澪さんに対する態度が、どこか普通と違っているということに。でも私はその事実から目をそむけ、あれは先輩に対する尊敬の念だと思い込もうとしていたんです。

 でももう無理です。あれを見てしまっては。気付かなかったとか、知らなかったとか、そんな言い訳はもうできません。

 はたして澪さんは知っているのでしょうか。軽音部の他の人たち、たとえば律さんとか、お姉ちゃんは気づいているのでしょうか。いやそもそも、梓ちゃんは自分の気持ちを理解できているのでしょうか。

 何もかも、わからないことばかり。



 私に何ができるだろう。
 何をしてあげられるだろう。

 何ひとつ思いつきません、何ひとつ。

 わかっていることはただひとつ。梓ちゃんは私の大切なお友だちだ、ということだけ。



 ──それってもう『お友だち』ってことじゃない



 ふと、一学期の最後の日に、梓ちゃんに吐いた自分の台詞が思い起こされました。

 ……そっか。
 そうですよね。
 すっかり忘れていました。

 どうしようとか、何ができるかとか。そんなことよりも、もっと大事なことがありました。それは私が、どうしたいか。

 今こそ、『お友だち』という言葉がホンモノだということを証明する時なのでしょう。そうに違いありません。そのためには言葉だけでは足りない。信頼と行動で示さなければいけないんです。

 私は問います。誰よりもまず自分自身に。人が人を想い慕う。それのどこがいけないことなんでしょうかと。そしてもう、その答えは出ていたのです。

 覚悟を決めました。

 彼女を応援します。それしかありません。とにかくそう決めました。方法はこれから考えます。

 頑張れ、梓ちゃん、頑張れ。

 これから彼女の進む道は、きっといばらの道なのでしょう。

 届くことはないかもしれません。
 叶うことはないかもしれません。

 でもたとえ、その結末がどうであったとしても。

 彼女の力になりたいです。
 彼女を支えていきたいです。
 彼女のことを考えていきたいです。

 だって私は、彼女のお友だちなのですから。
 大切な大切な、私のとても大切なお友だちなのですから。

 頑張れ、梓ちゃん、頑張れ──。

    ◇  ◆  ◇

 誰にも言えないコトがあります。
 親にも、姉妹にも、お友だちにも、神さまにも。

 きっと言葉にしただけで、それは壊れてしまう。
 あたかも朝もやのような、淡くはかない少女の想い。

 消えないように。
 傷つけないように。
 壊してしまわないように。
 ゆがんでしまわないように。

 この世に生まれたばかりのキモチだから。

 もう少し大きくなるまで。
 もう少し強くなるまで。
 もう少しだけ。

 そっと。

『今できる、精いっぱいのことを』へつづく)
関連記事
スポンサーサイト

テーマ : 自作小説(二次創作)
ジャンル : 小説・文学

現在の位置
百合みっくす
 トップページ
  ├ 月別アーカイブ
  |  └ --年--月 --日 (--)
  ├ カテゴリー
  |  └ スポンサー広告
  └ スポンサーサイト
百合みっくす
 トップページ
  ├ 月別アーカイブ
  |  └ 2010年08月 22日 (日)
  ├ カテゴリー
  |  └ 憂梓SS
  └ 『瞳に浮かぶその色は』(けいおんSS)
by AlphaWolfy
新公式twitter
カテゴリ
タグcloud
プロフィール

あっとあとみっく

Author:あっとあとみっく
おもに百合(GL・ガールズラブ)な小説と周辺情報を公開しています。最近はコミPo!でオリジナル百合4コマも。現在は「けいおん!」、「魔法少女まどか☆マギカ」とオリジナル。カプ傾向は澪梓、憂梓、恵和あたり。あと、ほむほむは百合。
このブログはリンクフリーですが、相互リンクはお受けしておりません。ご了承くださいませ。
注:管理人の名称は「あっとあとみっく」が正式ですが、ごくまれに「藍」と名乗ることもあります。

最新記事
月別アーカイブ
Google フリー検索

Google

WWW検索 ブログ内検索

リンク
バナー
百合みっくす 明日は明日の風が吹く! ものとーんわーるど TRAFFIC JAM Girls Love Search 駄文同盟.com にほんブログ村 小説ブログ 百合小説へ つい・ゆり ~おかあさんにはナイショだよ~
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。